第二審判決が一罪と認定した事実を数罪であると主張するのは、被告人に不利益な主張である。
一罪に対し数罪の主張と上告の利益。
刑訴法405条,刑法54条,刑法45条
判旨
被告人の利益を守るための上告制度の趣旨に鑑み、原判決が一罪と認定した事実を数罪であると主張して被告人に不利益な結果を求める上告は、適法な上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法における上告理由の範囲。具体的には、被告人の弁護人が「一罪ではなく数罪である」と主張することが、被告人の利益を目的とする上告制度において適法な理由となり得るか。
規範
上告審において、原判決が一罪と認定した事実を数罪(併合罪等)であると主張することは、被告人に不利益な主張であるため、適法な上告理由として認められない。
重要事実
被告人Bは、第一審および控訴審において一罪として認定された事実について、上告審において「事実は数罪に当たるものである」と主張した。また、これに併せて事実誤認、法令違反、および量刑不当の主張を行った。
あてはめ
被告人Bの弁護人が展開した「原判決が一罪と認定した事実は数罪である」との主張は、成立する罪の数を増やし、ひいては被告人の処断刑を重くする方向に働く性質を持つ。これは被告人に不利益な主張であり、被告人の権利救済を目的とする弁護人の上告理由としては不適当であると解される。その他の事実誤認や単なる法令違反の主張も、適法な上告理由に該当しない。
結論
本件各上告を棄却する。原判決を一罪と認定したことを不服として数罪を主張する点は、被告人に不利益な主張であり適法な上告理由に当たらない。
実務上の射程
罪数論において、被告人側から一税を数罪と主張することは利益原則に反し、上告理由にならないことを示す。実務上、弁護人が罪数について争う場合は、数罪を包括一罪や吸収関係として一罪にまとめる方向の主張(利益方向)でなければならないという指針となる。
事件番号: 昭和35(あ)61 / 裁判年月日: 昭和35年6月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審において事実の取調べを行い破棄自判する場合であっても、公訴事実の同一性を害しない限度で訴因の追加を許容すべきであり、不利益変更禁止の原則は判決の主文(刑の結果)のみを対象とする。 第1 事案の概要:第一審判決に対し控訴がなされ、控訴審において事実の取調べが行われた。その過程で検察官から訴因の…