判旨
不正競争防止法にいう「不正競争の目的」の有無は、取引の通念に照らし、その競争手段が不公正で公序良俗や信義衡平に反するか否かによって判断される。このような解釈に基づく処罰は、営業の自由を保障する憲法22条に違反しない。
問題の所在(論点)
不正競争防止法における「不正競争の目的」の意義と判断基準、および同法による処罰と憲法22条の営業の自由との整合性が問題となった。
規範
旧不正競争防止法5条2号(現行法の不正の利益を得る目的等に相当)にいう「不正競争の目的」とは、取引の通念に照らして、その競争の手段が不公正なものであり、公序良俗、信義衡平に反するものであることをいう。
重要事実
被告人は、不正競争防止法1条2号(当時)に該当する行為を行ったとして起訴された。第一審および原審は、被告人の行為が取引通念上不公正であり、公序良俗・信義衡平に反すると認定し、「不正競争の目的」を認めて有罪とした。これに対し被告人側は、当該認定には事実誤認や法令違反があり、このような判断に基づく処罰は憲法22条(営業の自由)に違反するとして上告した。
あてはめ
原審が認定した事実に照らせば、被告人の行為は取引の通念上、競争手段として不公正なものであり、公序良俗や信義衡平に反するといえる。したがって、被告人には「不正競争の目的」が認められ、同法に該当するとした原審の判断は正当である。正当な制限の下での処罰である以上、憲法22条に違反するという主張は前提を欠く。
結論
被告人の行為には不正競争の目的が認められ、不正競争防止法違反が成立する。本件上告を棄却する。
実務上の射程
本判決は古い規定に関するものであるが、「不正の目的」を取引通念や信義則・公序良俗といった一般的・客観的な尺度で具体化する手法を示しており、現行不正競争防止法における「不正の利益を得る目的」等の解釈においても、その判断枠組みの基礎として引用し得る。
事件番号: 昭和49(あ)2299 / 裁判年月日: 昭和50年9月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不正競争防止法にいう「不正の競争の目的」とは、単に他人と営業上の競争をする意図を指すものではなく、また一般消費者の利益を害する意図までをも要件とするものではない。 第1 事案の概要:本件は、不正競争防止法違反の罪に問われた被告人らが、同法にいう「不正の競争の目的」の解釈を巡り、原判決の判断が判例に…
事件番号: 昭和54(オ)145 / 裁判年月日: 昭和56年10月13日 / 結論: 棄却
一 不正競争防止法一条一項一号にいう他人の商品との混同の事実が認められる場合には、特段の事情がない限り、右他人は営業上の利益を害されるおそれがある者にあたるというべきである。 二 商標権者が登録商標に類似する標章を使用する行為は、不正競争防止法六条にいう「商標法ニ依リ権利ノ行使ト認メラルル行為」に該当しない。