判例違反の主張が原判決は所論のような判断をしたものではないとして不適法とされた事例
判旨
不正競争防止法にいう「不正の競争の目的」とは、単に他人と営業上の競争をする意図を指すものではなく、また一般消費者の利益を害する意図までをも要件とするものではない。
問題の所在(論点)
旧不正競争防止法5条3号(現行法の構成とは異なるが、目的犯の要件として共通する概念)にいう「不正の競争の目的」の意義が問題となった。
規範
不正競争防止法における「不正の競争の目的」の意義については、単なる「他人と営業上の競争をする意図」に限定されるものではなく、また「一般消費者の利益を害する意図」があることまでを必要とするものでもない。
重要事実
本件は、不正競争防止法違反の罪に問われた被告人らが、同法にいう「不正の競争の目的」の解釈を巡り、原判決の判断が判例に違反すると主張して上告した事案である。被告人側は、原判決が当該目的を単純な競争意図と解し、かつ消費者利益を害する意図を要件としたと主張したが、最高裁は原判決がそのような判断をしていないことを確認した。
あてはめ
最高裁は、被告人側の主張する「原判決が単純な競争意図のみで足りるとした」あるいは「一般消費者の利益を害する意図を要件とした」という前提を否定した。これにより、当該目的の成否は、単なる主観的な競争心や消費者被害の意図の有無といった極端な解釈に拘泥するのではなく、個別の態様に応じた不正な手段や目的の有無によって決せられるべきであることを示唆した。
結論
本件各上告を棄却する。「不正の競争の目的」の解釈に関する被告人側の主張は前提を欠き、上告理由にあたらない。
実務上の射程
本決定は、不正競争防止法における目的要件の解釈指針を示すものである。答案上は、同法の「不正の競争の目的」を検討する際、単なる営業上の競争心を超えた「公正な競合秩序を害する意図」等の有無を検討すべきであり、一方で消費者への実害意図までを求める必要はないことを論証する根拠として活用できる。
事件番号: 昭和33(あ)342 / 裁判年月日: 昭和35年4月6日 / 結論: 棄却
一 不正競争防止法第五条第二号は憲法第二二条に違反しない。 二 同号にいう「不正ノ競争ノ目的」とは、公序良俗、信義衡平に反する手段によつて、他人の営業と同種または類似の行為をなし、その物の営業上の競争をする意図をいう。 三 同号の罪はその構成要件上、行為の一定期間内における反覆継続性を要素とするものではない。