級別の審査・認定を受けなかつたため酒税法上清酒二級とされた商品であるびん詰の清酒に清酒特級の表示証を貼付する行為は、たとえその清酒の品質が実質的に清酒特級に劣らない優良のものであつても、不正競争防止法五条一号違反の罪を構成する。
不正競争防止法五条一号違反の罪を構成するとされた事例
不正競争防止法5条1号,酒税法5条,酒税法施行令11条
判旨
酒税法上の級別審査を受けず清酒二級とされた商品に「清酒特級」の表示を貼付する行為は、たとえ実質的な品質が特級に劣らないものであっても、不正競争防止法(当時)における誤認惹起表示にあたる。
問題の所在(論点)
酒税法上の級別認定を受けていない清酒について、実習的な品質が優良であれば、上位の級別を表示しても「品質」について誤認させる表示(旧不正競争防止法5条1号)に該当しないといえるか。
規範
不正競争防止法が禁じる原産地、品質、内容等について誤認させるべき表示(旧5条1号)の該非は、客観的な表示の内容と法的・制度的な基準との適合性によって判断される。実質的な品質が優良であっても、法令に基づく特定の公的基準(級別等)に依拠する表示を用いる以上、その手続的要件を欠く表示は、消費者にその基準を満たしていると誤認させるものとして違法性を有する。
重要事実
被告人らは、酒税法に基づき級別の審査・認定を受けていなかったため、同法上は「清酒二級」として扱われるべきびん詰の清酒を販売する際、これに「清酒特級」との表示証を貼付した。被告人側は、当該清酒の品質が実質的には清酒特級に劣らない優良なものであることを理由に、品質の誤認にはあたらないと主張して争った。
あてはめ
本件において、被告人らは級別審査を受けておらず、法的には清酒二級とされるべき商品に「清酒特級」と表示した。この表示は、消費者が酒税法上の厳格な審査を経た「特級」の商品であると信頼して購入することを期待するものである。たとえ実際の液体の品質が特級相当であったとしても、公的認定制度である級別表示を偽ることは、当該制度に基づく品質保証に対する信頼を裏切り、一般消費者に品質を誤認させる。したがって、実質的な品質の優劣に関わらず、客観的な表示と法的地位の不一致をもって誤認惹起性が認められる。
結論
本件行為は、たとえ清酒の品質が実質的に清酒特級に劣らない優良なものであったとしても、旧不正競争防止法5条1号違反の罪を構成する。
実務上の射程
本判決は、公的規制や認定制度(当時の酒税法上の級別制など)が存在する場合、その制度上の要件を欠きながら当該表示を用いることが直ちに不競法上の誤認表示にあたることを示した。実質的な価値が同等であるとの弁解を封じる判断枠組みとして、虚偽の品質表示を争う際の強力な先例となる。
事件番号: 昭和37(あ)1436 / 裁判年月日: 昭和39年7月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不正競争防止法にいう「不正競争の目的」の有無は、取引の通念に照らし、その競争手段が不公正で公序良俗や信義衡平に反するか否かによって判断される。このような解釈に基づく処罰は、営業の自由を保障する憲法22条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は、不正競争防止法1条2号(当時)に該当する行為を行った…