日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律(昭和二九年法律第六一号による改正前のもの)第一二条第一項は、合衆国軍隊、その構成員等以外の者が、同第六条掲記の関税免除物品を日本国内において譲受けようとするときは、右譲受を輸入とみなして関税法等を適用する旨規定しているが、駐留濠洲軍人所有の外国自動車は、同第六条の規定の対象とされておらず、また、日本国との平和条約第一二条(b)(l)(i)は、日本国が連合国、その国民等に対し関税等について最恵国待遇を与える旨を規定したに過ぎないのであるから、この規定を根拠に関税免税物品たる駐留濠洲軍人所有の外国自動車の譲受について右特例法第一二条を準用することはできない。
駐留濠洲軍人所有の外国自動車の譲受について日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律(昭和二九年法律第六一号による改正前のもの)第一二条の準用の有無。
日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う国税法等の臨時特例に関する法律(昭和29年法律6号による改正前のもの)6条,日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う国税法等の臨時特例に関する法律(昭和29年法律6号による改正前のもの)12条,旧国税法75条1項,日本国との平和条約12条(b),日本国との平和条約12条(l),日本国との平和条約12条(i)
判旨
法律上の根拠がないにもかかわらず、条約の最恵国待遇条項を根拠に特例法を準用して刑事罰を科すことは、罪刑法定主義の観点から許されない。
問題の所在(論点)
駐留豪州軍人からの物品譲受について、直接の処罰規定や準用規定が存在しない場合に、条約の最恵国待遇条項を根拠として関税法特例法の罰則を適用し、処罰することができるか(罪刑法定主義との関係)。
規範
刑事罰を科すためには、あらかじめ法律によって犯罪とされる行為とその刑罰が明確に定められていなければならない(罪刑法定主義)。条約が一般的・抽象的な最恵国待遇を定めているに過ぎない場合、これを根拠に特定の刑事罰規定を準用することは、法律上の明確な根拠を欠くものとして許されない。
事件番号: 昭和36(あ)2104 / 裁判年月日: 昭和37年3月1日 / 結論: 棄却
一 公証人に対し虚偽の申立をなし、公証人をして公正証書の原本に不実の記載をさせた場合において、嘱託人の一方が日本語を解しないのにかかわらず、公証人が公正証書を作成するに当り通事を立ち会わせず、通事をして証書の趣旨を右嘱託人に通訳させなかつた等その作成手続上の瑕疵があつたとしても、当該公正証書が一般人をしてその内容を真正…
重要事実
被告人らは、昭和27年に駐留豪州軍人から関税免除物品である外国自動車を譲り受け、関税を免れたとして関税法違反(関税逋脱罪)で起訴された。一審および原審は、日米行政協定に伴う関税法特例法12条1項(合衆国軍人からの譲受を輸入とみなす規定)を、日本国との平和条約12条(最恵国待遇条項)を根拠に豪州軍人からの譲受にも準用できるとして、有罪を宣告した。
あてはめ
特例法12条1項は合衆国軍隊等からの譲受のみを対象としており、駐留豪州軍人の所有物は同法の対象外である。また、平和条約12条は関税等に関する一般的な最恵国待遇を規定したに過ぎず、これを根拠に刑事罰を伴う特例法を準用する法的根拠とはなり得ない。したがって、他に適用すべき法律上の根拠がない以上、譲受人に刑事責任を問うことはできない。
結論
本件譲受行為に関税逋脱罪の成立を認めた原判決には法令の解釈適用の誤りがあり、破棄を免れない。
実務上の射程
罪刑法定主義の要請から、類推解釈や法的根拠のない拡大解釈を否定した事例である。答案上は、条約の規定を直接の処罰根拠とすることの可否や、刑事法における安易な準用・類推の禁止を論じる際の論拠として活用できる。
事件番号: 昭和28(あ)123 / 裁判年月日: 昭和30年3月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】執行猶予の条件の変更は、刑法6条にいう「刑の変更」には該当せず、また刑法改正により犯罪後の領土帰属に変更が生じても「刑の廃止」には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が奄美群島に関連する犯罪行為を行い、その後の裁判継続中に奄美群島が日本国に返還された。さらに、その間に刑法25条の改正により執行猶…
事件番号: 昭和53(あ)157 / 裁判年月日: 昭和54年5月10日 / 結論: 棄却
許可を受けないで覚せい剤を輸入した者に対し関税法一一一条の罪の成立を認めても、憲法三八条一項にいう「自己に不利益な供述」を強要したことにはならない。
事件番号: 昭和26(あ)2751 / 裁判年月日: 昭和28年5月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】関税法違反等に係る告発において、告発状に告発事由の明示を欠いたとしても、告発書の記載自体によって具体的条項による告発であることが窺えるのであれば、当該告発は適法である。 第1 事案の概要:被告人が関税法違反(密輸出)の罪に問われた事案において、検察官に提出された大蔵事務官名義の告発書には、具体的な…