判旨
有罪判決の確定により未決勾留はその効力を失うため、勾留期間更新決定の当否を争う特別抗告は、不服申立ての利益を欠き不適法となる。
問題の所在(論点)
有罪判決が確定した場合に、それ以前になされた未決勾留の期間更新決定の当否を争う特別抗告について、不服申立ての利益が認められるか。
規範
刑罰権の確定を伴う有罪判決の確定により、未決の身体拘束を継続する根拠であった未決勾留はその効力を喪失する。したがって、勾留期間更新決定の当否を判断すべき法的実益(不服申立ての利益)が消滅し、当該決定に対する不服申立ては不適法となる。
重要事実
申立人は窃盗被告事件に関し、名古屋高等裁判所で控訴棄却の有罪判決を受けた。これに対し上告受理の申立てを行ったが受理されず、昭和29年5月14日に原判決が確定した。一方で、申立人は勾留期間更新決定等に対して特別抗告を申し立て、その当否を争っていた。
あてはめ
申立人に対する有罪判決は昭和29年5月14日に確定しており、この確定により未決勾留はその効力を失ったことが記録上明らかである。未決勾留の効力が失われた以上、既に経過した期間に係る勾留期間更新決定の当否を今さら判断すべき実益はないといえる。また、高等裁判所の決定に対しては刑事訴訟法428条2項、3項に基づき異議の申立てをすべきであり、直接最高裁判所に特別抗告を申し立てることは手続的にも不適法である。
結論
本件各特別抗告は不適法であるため、棄却を免れない。
実務上の射程
本判決は、判決の確定による未決勾留の当然失効を前提に、勾留に関する不服申立ての利益が消滅することを確認したものである。実務上、勾留理由の消滅や勾留取消しの請求においても、判決確定後は「訴えの利益」が失われるため、保釈等と同様に執行段階の問題へと移行することを意味する。
事件番号: 平成6(し)88 / 裁判年月日: 平成6年7月8日 / 結論: 棄却
勾留期間更新決定に関する抗告申立ての利益は、右決定による勾留の期間の満了により失われる。
事件番号: 昭和24新(つ)12 / 裁判年月日: 昭和25年9月8日 / 結論: 棄却
本件特別抗告は、被告人に對する昭和二四年(を)第一五一〇號窃盜窃被告事件の控訴審たる東京高裁が昭和二四年九月一七日決定した同被告人に關する勾留更新決定に對する異議申立棄却決定につき、同月二〇日抗告人より爲されたものである。しかるに、右被告事件は同年一二月二七日控訴棄却の判決があり確定したものであることが、その後における…
事件番号: 昭和35(し)29 / 裁判年月日: 昭和35年10月4日 / 結論: 棄却
勾留更新決定の執行は、その謄本の送達を要件としない。
事件番号: 昭和28(し)24 / 裁判年月日: 昭和28年5月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留の継続には、犯罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由および罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由の存続が必要である。本件においてはこれらの要件が依然として存続していると認められ、勾留の継続を相当とした原決定に憲法違反はない。 第1 事案の概要:被告人は特定の犯罪事実に係る被疑者として勾留されて…
事件番号: 昭和40(し)79 / 裁判年月日: 昭和41年10月19日 / 結論: 棄却
一 原裁判所は上訴提起後であつても、訴訟記録がまだ上訴裁判所に到達しない間は、被告人を勾留することができる 二 勾留をする裁判所が、すでに被告事件の審理の際、被告事件に関する陳述を聞いている場合には、改めて刑訴法第六一条のいわゆる勾留質問をしなければならないものではない