判旨
勾留の継続には、犯罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由および罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由の存続が必要である。本件においてはこれらの要件が依然として存続していると認められ、勾留の継続を相当とした原決定に憲法違反はない。
問題の所在(論点)
勾留の更新または継続において、犯罪の嫌疑(刑事訴訟法60条1項柱書)および罪証隠滅の恐れ(同項2号)が依然として認められるか。また、これらを肯定した原決定に憲法違反の瑕疵があるか。
規範
刑事訴訟法上の勾留が適法に維持されるためには、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由(同法60条1項柱書)が存在し、かつ、罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由(同項2号)等の勾留の理由が依然として存続していることを要する。
重要事実
被告人は特定の犯罪事実に係る被疑者として勾留されていた。原決定は、被告人が本件犯罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があり、かつ、罪証を隠滅すると疑うに足りる理由が依然として存続していると判断した。これに対し、被告人側は憲法違反を理由として特別抗告を申し立てた。
あてはめ
本件において、原決定は被告人が犯罪を犯したことの相当な嫌疑を認め、かつ罪証隠滅の疑いという勾留の理由が消滅していないと判示している。抗告人は原決定が依拠していない事実を前提に違憲を主張するが、原決定の判断プロセスに合理的な嫌疑の認定と勾留の必要性の判断が認められる以上、憲法に抵触するような違法な身拘束には当たらないと解される。
結論
本件犯罪の嫌疑および罪証隠滅の恐れが存続している以上、勾留の継続は適法であり、特別抗告は棄却される。
実務上の射程
事件番号: 昭和28(し)30 / 裁判年月日: 昭和28年7月31日 / 結論: 棄却
前審判決により禁錮以上の刑の宣告を受けた勾留中の被告人に対しては、刑訴六〇条一項一号乃至三号に当る事由が存続し同三四三条の趣旨に従い勾留を継続する必要があると認められる限り勾留期間を更新することができるものと解するを相当とする。されば原決定が、被告人は当該事件の第一審裁判所で懲役一年の言渡を受けて勾留中のものであり、な…
勾留の理由(嫌疑および罪証隠滅・逃亡の恐れ)が存続している限り、勾留の継続を認める実務の基本的な枠組みを確認したものである。答案上は、法60条1項の各要件が時の経過によっても失われていないことを論証する際の、極めて簡潔な根拠として参照し得る。
事件番号: 昭和46(し)31 / 裁判年月日: 昭和46年5月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留更新の回数制限の除外事由を定める刑事訴訟法60条2項および89条3号の規定は、合理的な理由に基づくものであり、憲法31条に違反しない。 第1 事案の概要:抗告人は、勾留更新の回数制限の除外事由を定めた刑事訴訟法60条2項および89条3号の規定に合理的理由がないことを前提として、これらの規定が憲…
事件番号: 昭和24新(つ)12 / 裁判年月日: 昭和25年9月8日 / 結論: 棄却
本件特別抗告は、被告人に對する昭和二四年(を)第一五一〇號窃盜窃被告事件の控訴審たる東京高裁が昭和二四年九月一七日決定した同被告人に關する勾留更新決定に對する異議申立棄却決定につき、同月二〇日抗告人より爲されたものである。しかるに、右被告事件は同年一二月二七日控訴棄却の判決があり確定したものであることが、その後における…
事件番号: 平成6(し)88 / 裁判年月日: 平成6年7月8日 / 結論: 棄却
勾留期間更新決定に関する抗告申立ての利益は、右決定による勾留の期間の満了により失われる。
事件番号: 昭和25(し)11 / 裁判年月日: 昭和26年4月27日 / 結論: 棄却
一 所論勾留更新決定書中の更新日の記載が不明瞭であることは所論のとおりであつて、右は「八」の文字と「七」の文字とを重複記載していることは右記載自体から窺われるのであるが、これを二八日と判読するべきか或はこれを二七日と判読すべきかはかかる文字の記載だけから断定することは困難であつて、かかる記載が刑訴規則第五九条に違反する…