判旨
食糧管理法による規制が憲法25条に違反しないこと、および憲法37条の「公平な裁判所の裁判」の意義についての判断を維持したものである。
問題の所在(論点)
食糧管理法による食糧配給等の規制が憲法25条に違反するか。また、憲法37条1項にいう「公平な裁判所の裁判」とはいかなる意義か。
規範
憲法25条(生存権)に基づく生存の保障が、特定の行政規制(食糧管理法等)によって直ちに侵害されるものではない。また、憲法37条1項の「公平な裁判所」とは、主観的に偏見を持たない裁判官による裁判を指し、被告人に有利な政治的配慮を行う裁判所を意味するものではない。
重要事実
被告人が食糧管理法違反で起訴された事案において、同法が憲法25条の生存権を侵害し違憲であること、および一審・二審の裁判が憲法37条1項の「公平な裁判所」による裁判ではないことを理由に上告がなされた。
あてはめ
最高裁は、食糧管理法が憲法25条に違反しないとする大法廷判決(昭和23年9月29日判決等)を引用し、これを変更する必要はないと判断した。また、憲法37条の公平な裁判所についても、弁護人が主張するような特定の基準に基づく裁判を指すものではないとする従来の判例を維持した。
結論
本件上告は棄却された。食糧管理法は憲法25条に違反せず、原審までの裁判も憲法37条に違反しない。
実務上の射程
生存権(25条)のプログラム規定説的性格や、公平な裁判所(37条)の客観的構成を論じる際の基礎的な確認判例として位置づけられる。ただし、本判決自体は簡潔な引用に留まるため、具体的な法理は先行する大法廷判決を参照する必要がある。
事件番号: 昭和29(あ)4017 / 裁判年月日: 昭和31年11月30日 / 結論: 棄却
所論食糧管理法、同法施行令及び同法施行規則の各規定が、憲法二五条の規定に違反するものでないことは、当裁判所の判例(昭和二三年(れ)第二〇五号同年九月二九日大法廷判決、集二巻一〇号一二三五頁)の趣旨に照して明らかである。