第三点は違憲をいうが、刑訴四八条二項は公判調書に記載すべき重要事項範囲を最高裁判所規則に一任しているから、所論規則が起訴状朗読の記載を不要としたことは、刑訴法に反するところはなく、従つて違憲の主張は前提を欠き、採るを得ない。
刑訴規則第四四条の合憲性
刑訴法48条2項,刑訴規則44条,憲法31条,憲法77条
判旨
刑事訴訟法48条2項が公判調書の記載事項を最高裁判所規則に委任していることから、最高裁判所規則が起訴状朗読の記載を不要としたことは同法に違反せず、憲法にも反しない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法48条2項の委任に基づき、最高裁判所規則(刑事訴訟規則)が公判調書への起訴状朗読の記載を不要としたことは、法律の委任の範囲を逸脱し憲法に違反するか。
規範
刑事訴訟法48条2項は、公判調書に記載すべき重要事項の具体的範囲の決定を最高裁判所規則に一任している。したがって、同規則において特定の訴訟手続の記載を不要と定めたとしても、直ちに法律の委任の範囲を逸脱し、又は憲法に違反するものとはいえない。
重要事実
被告人は公選法違反等の罪に問われ、一審・二審で有罪判決を受けた。上告審において弁護人は、公判調書に起訴状の朗読に関する記載がないことは刑事訴訟法に反し、ひいては憲法違反にあたると主張して、原判決の破棄を求めた。
あてはめ
刑事訴訟法48条2項は、公判調書の記載事項について「最高裁判所規則で定める」と規定し、広範な裁量を認めている。これを受けて刑事訴訟規則が起訴状朗読の記載を不要としたことは、法が予定した委任の範囲内における技術的・裁量的な事項の決定であるといえる。したがって、所論規則の規定は刑事訴訟法に抵触せず、これを前提とする違憲の主張もその前提を欠く。
結論
刑事訴訟規則が起訴状朗読の記載を不要としたことは合憲・適法であり、上告は棄却される。
実務上の射程
公判調書の形式的記載事項に関する最高裁規則への委任の適法性を確認した判例である。答案上は、公判手続の適法性が争点となる場面で、調書の記載の有無が直ちに手続の違法に直結しないことを説明する際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和29(あ)3336 / 裁判年月日: 昭和30年3月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑訴法48条2項に基づき公判調書に記載すべき事項を規定した刑訴規則44条は適法であり、また、供述が脅迫や強制によるものと認められない限り、当該供述調書の証拠能力を否定する憲法違反の事由は存在しない。 第1 事案の概要:被告人が第一審の訴訟手続において、刑事訴訟規則44条が法律に違反することを前提と…