判旨
刑訴法48条2項に基づき公判調書に記載すべき事項を規定した刑訴規則44条は適法であり、また、供述が脅迫や強制によるものと認められない限り、当該供述調書の証拠能力を否定する憲法違反の事由は存在しない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟規則44条が刑事訴訟法48条2項に反し違憲・違法となるか。また、脅迫や強制により作成されたと主張される供述調書について、記録上その事実が認められない場合に憲法違反の問題が生じるか。
規範
刑事訴訟規則44条は、刑事訴訟法48条2項の委任に基づき公判調書の記載事項を適正に定めたものであり、同法に違反しない。また、供述調書の証拠能力が争われる場合、当該供述が脅迫、強制等により任意性を欠く状態でなされたことを認める証跡がない限り、証拠排除の憲法上の根拠は欠くものとされる。
重要事実
被告人が第一審の訴訟手続において、刑事訴訟規則44条が法律に違反することを前提とした違憲主張を行った。また、自らの供述調書(またはその謄本)の記載内容が、脅迫や強制に基づいたものであるとして、その証拠能力や手続の適法性を争い、最高裁判所に上告した事案である。
あてはめ
刑事訴訟法48条2項は公判調書の記載事項を委任しており、これを受けた規則44条の内容に不合理な点はなく法律に違反しない。さらに、被告人が主張する「脅迫・強制による供述」については、記録を精査してもそのような事態があったことを裏付ける証拠が存在しない。したがって、前提となる事実関係が認められない以上、違憲の主張は失当である。
結論
刑事訴訟規則44条は適法であり、本件供述調書等に任意性を疑わせる事情が認められない以上、第一審の訴訟手続に憲法違反の不備はない。
実務上の射程
刑事訴訟規則の委任の適法性を確認するとともに、自白や供述の任意性を争う上告において、記録上の裏付けを欠く主張は排斥されるという実務上の判断基準を示している。答案上は、供述の任意性や規則の委任限界を論じる際の傍証として機能する。
事件番号: 昭和43(あ)1406 / 裁判年月日: 昭和43年11月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の供述調書における自白の任意性と補強証拠の存在について、記録に照らし原判決の判断に憲法違反や証拠調請求の裁量権逸脱はないとして、上告を棄却した判決である。 第1 事案の概要:被告人ら3名に対する検察官作成の各供述調書における自白の任意性が争われた。被告人側は、原審が関係証人の尋問請求を却下し…