判旨
公判手続において、適用される刑罰法令の違憲が主張された場合でも、裁判所が事実審理に先立って当該法令の違憲性について審判を先行させることは憲法上要求されない。
問題の所在(論点)
公訴事実に適用される刑罰法令の違憲が主張された場合に、裁判所は事実審理に先立って当該法令の合憲性について判断を下す憲法上の義務を負うか。
規範
公判手続において適用されるべき刑罰法令の違憲が主張された場合でも、事実審理に先立ってその法令の違憲性に関する審判を先行すべきことは、憲法上要求されるものではない。
重要事実
刑事被告人側が、公訴事実に適用される公安条例について違憲であると主張した。これに対し、裁判所が違憲性についての審判を先行させずに手続を進めたことについて、憲法違反があるとして特別抗告が申し立てられた。
あてはめ
最高裁の判例(大法廷決定)に徴すれば、公訴事実に適用される法令が違憲であるとの主張があったとしても、事実審理より先にその審判を先行させるべき憲法上の要求は存在しない。したがって、本件において公安条例の合憲・違憲の問題に対する審判を先行させなかったことは、憲法に違反するものではないと解される。
結論
法令の違憲性判断を事実審理に先立って行う必要はなく、審判を先行させなかった原決定に憲法違反はない。
実務上の射程
刑事手続における付随的違憲審査の実施時期に関する判断である。被告人が適用法令の違憲を主張して争う場合であっても、裁判所は実体審理(事実調べ)と並行して、またはその後に憲法判断を行えば足り、手続の冒頭で判断を下す必要がないことを示す。公判前整理手続等における争点整理の局面でも参照されうる。
事件番号: 昭和28(し)98 / 裁判年月日: 昭和29年1月16日 / 結論: 棄却
所論は法廷警察権の行使方法が法令に違反するということを前提とし、忌避の理由がある旨主張するに止まり、この点に関する原決定の判断は正当であるから、所論は憲法の各条規に違反するという前提を欠く。註。原決定は法廷警察権の行使に対しても刑訴三〇九条二項の異議を申し立てることができるが、この判断を誤つたからといつて忌避の理由あり…
事件番号: 昭和29(し)64 / 裁判年月日: 昭和29年12月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条2項は、被告人側が申請した証人をすべて喚問することを義務付けるものではなく、証拠調の必要性の判断は裁判所の合理的な裁量に委ねられる。当該証拠が唯一の証拠でない場合など、不必要と認められる証人の尋問を却下することは同条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人の弁護人は、第一審公判において、…
事件番号: 昭和58(し)21 / 裁判年月日: 昭和58年3月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法32条、37条1項違反及び判例違反を主張する特別抗告について、原決定の判示に沿わない主張や単なる法令違反の主張は、刑訴法433条所定の抗告理由に当たらない。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定に対し憲法32条、37条1項違反および判例違反を理由に特別抗告を申し立てた。しかし、その主張は原決定の…
事件番号: 昭和29(し)69 / 裁判年月日: 昭和29年12月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】逮捕状を発付した裁判官がその後の審判に関与したとしても、客観的に偏頗の惧れがある等の特段の事情がない限り、裁判の公平を欠くものではない。 第1 事案の概要:本件において、抗告裁判所の裁判官が過去に同一事件の逮捕状を発付していた。抗告人は、当該裁判官が審判に関与することは公平な裁判所による裁判を受け…
事件番号: 昭和58(ク)94 / 裁判年月日: 昭和58年12月15日 / 結論: 棄却
一 民訴規則六一条の規定は憲法三二条に違反しない。 二 民訴規則六一条の定める抗告理由書提出期間の遵守の有無を到達主義によつて決しても憲法三二条に違反しない。