判旨
裁判官による証人尋問(刑訴法227条)において、被疑者に弁護人が選任されている場合であっても、捜査に支障を生ずるおそれがあると認められるときは、弁護人を立ち会わせないことができる。
問題の所在(論点)
裁判官が刑訴法227条に基づき証人尋問を行う際、被疑者に弁護人が選任されていることを知りながら、捜査上の支障を理由に弁護人を立ち会わせないことは、憲法又は法的に許容されるか。
規範
刑訴法227条に基づく裁判官の証人尋問における弁護人の立会権について、法は明文の規定を置いていない。もっとも、捜査の密行性や円滑な遂行を確保する必要があることから、捜査に支障を生ずるおそれがあるものと認められる場合には、裁判官の裁量により弁護人の立ち会いを制限することが許容される。
重要事実
裁判官が刑訴法227条に基づき証人Bを尋問するにあたり、被疑者に弁護人が選任されていることを認識していた。しかし、当該裁判官は、弁護人を証人尋問に立ち会わせることは捜査に支障を生ずるおそれがあるものと判断し、弁護人を立ち会わせずに尋問を実施した。これに対し、弁護人側は立会権の侵害を理由として異議を申し立てた。
あてはめ
本件において、裁判官は被疑者に弁護人が選任されている事実を把握していたが、同時に「捜査に支障を生ずる虞がある」と判断している。刑訴法227条の尋問は公判準備ではなく捜査の一環であり、証拠保全(226条)と異なり立会権に関する準用規定(157条等)も存在しない。したがって、捜査の必要性に基づき立ち会いを拒否した判断は、裁判官の合理的な裁量の範囲内といえる。
結論
弁護人を立ち会わせなかったことは適法であり、憲法解釈の誤りも認められないため、特別抗告を棄却する。
実務上の射程
事件番号: 昭和28(し)62 / 裁判年月日: 昭和29年2月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条2項は受訴裁判所の公判手続における証人尋問権を保障するものであり、捜査段階の証人尋問(刑訴法228条)において弁護人の立会いを任意としたとしても、直ちに同条項に反するものではない。 第1 事案の概要:検察官が刑訴法227条に基づき証人Aの尋問を請求した際、被疑者には既に弁護人が付されてい…
第1回公判前の証人尋問(227条)における立会権の有無に関するリーディングケース。現行の実務においても、227条尋問は原則として非公開かつ立会いなしで行われる運用を支える根拠の一つとなるが、証拠保全(226条)には立会権が認められる(228条2項)点との対比に注意が必要である。
事件番号: 昭和28(し)64 / 裁判年月日: 昭和29年2月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条2項の証人尋問権は受訴裁判所の訴訟手続における保障であり、捜査段階の証人尋問には適用されない。そのため、弁護人の立会いなく行われた刑訴法228条の証人尋問手続は憲法違反ではない。 第1 事案の概要:検察官は、刑事訴訟法227条に基づき証人Aの尋問を裁判官に請求した。当時、被疑者には既に弁…
事件番号: 昭和28(し)65 / 裁判年月日: 昭和29年2月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法227条に基づく捜査上の証人尋問に弁護人が立ち会わなかったとしても、憲法37条2項の証人尋問権は受訴裁判所の公判手続を保障するものであり、捜査段階の手続には及ばないため、憲法違反とはならない。 第1 事案の概要:検察官が刑事訴訟法227条に基づき裁判官に対し証人尋問を請求した際、被疑者等…
事件番号: 昭和28(し)63 / 裁判年月日: 昭和29年2月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】捜査段階における証人尋問(刑訴法227条)において、弁護人の立会いを認めるか否かは裁判官の裁量に委ねられており、弁護人の立会いなしに尋問が行われたとしても憲法37条2項等に違反しない。 第1 事案の概要:検察官が刑訴法227条に基づき証人Aの尋問を請求した際、被疑者には既に弁護人が選任されていたが…
事件番号: 昭和29(し)22 / 裁判年月日: 昭和29年6月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条1項が保障する「公平な裁判所」とは、偏頗や不公平のおそれのない組織および構成を持つ裁判所を指し、個々の裁判の内容が具体的に公正妥当であることを保障するものではない。 第1 事案の概要:申立人Aは、原決定が抗告理由に対して行った判断が不当であることを理由として、憲法37条1項(公平な裁判所…