判旨
高等裁判所が抗告審としてなした決定に対しては、異議の申立てをなすことができない。不適法な異議申立てを却下した決定に対し、実質的な異議理由を主張して特別抗告を申し立てることは、決定の趣旨に副わず認められない。
問題の所在(論点)
高等裁判所が抗告審としてなした決定に対し、異議の申立てをなすことができるか。また、異議申立てを不適法として却下した決定に対し、実質的な不服理由を特別抗告の理由とできるか。
規範
刑事訴訟法上、高等裁判所が抗告審としてなした決定に対しては、同裁判所に対する異議の申立て(刑訴法428条等参照)をなすことはできない。また、不適法を理由とする却下決定に対する特別抗告においては、原決定が判断していない実質的な異議理由を主張することは許されない。
重要事実
本件において、申立人は高等裁判所が抗告審として下した決定に対し、異議の申立てを行った。これに対し、原審(高等裁判所)は、抗告審の決定に対しては異議申立てができないことを理由に、不適法として却下決定を下した。申立人は、この却下決定を不服として、異議の申立ての理由(実質的理由)を改めて主張し、最高裁判所に特別抗告を申し立てた。
あてはめ
まず、高等裁判所の抗告審決定に対する異議申立ては法律上認められないため、原審がこれを不適法とした判断は正当である。次に、特別抗告の対象となった原決定は「異議申立てが不適法である」という形式的判断のみを行っており、実質的な異議理由については何ら判断を下していない。したがって、申立人が主張する実質的な理由は原決定の趣旨に沿わない不適切なものであり、刑訴法434条、426条1項により棄却を免れない。
結論
高等裁判所の抗告審決定に対する異議申立ては認められない。また、当該申立てを不適法として却下した決定に対する特別抗告において、実質的な異議理由を主張することはできない。
事件番号: 昭和27(し)34 / 裁判年月日: 昭和28年11月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告の対象となる事由が存在するか否かは、原審において弁護人が異議を述べ、裁判所がこれに対し却下の決定をなしたという事実の有無に照らして判断されるべきであり、それらの事実が認められない場合には、特別抗告は不適法として棄却される。 第1 事案の概要:暴力行為等処罰に関する法律違反等に問われた被告人…
実務上の射程
裁判所法や刑訴法が定める不服申立経路の排他性・厳格性を示す判例である。特に、高等裁判所の決定に対する独自の異議申立て(三層構造の例外)が認められないこと、および抗告審の判断の範囲(不適法却下の場合の不服申立理由の制限)を検討する際の基礎となる。
事件番号: 昭和28(す)23 / 裁判年月日: 昭和28年3月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が上告趣意書の不提出を理由としてした上告棄却決定に対し、異議の申立てを許す規定は存在しないため、かかる申立ては不適法である。 第1 事案の概要:上告人(被告人)は、最高裁判所に上告を申し立てた。しかし、被告人及び弁護人は、刑事訴訟法414条、376条、刑事訴訟規則等の規定に基づき定められ…
事件番号: 昭和28(す)167 / 裁判年月日: 昭和28年5月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が刑訴法414条、386条1項3号に基づき上告棄却の決定をした場合、当該決定に対して異議の申立てをすることはできない。 第1 事案の概要:被告人Aが最高裁判所に上告を申し立てたが、最高裁判所は上告趣意が刑事訴訟法405条の上告理由に該当しないと判断した。そのため、同法414条および386…
事件番号: 昭和38(し)45 / 裁判年月日: 昭和38年11月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所が抗告審としてした決定に対しては、その裁判所に異議の申立てをすることはできない。したがって、抗告審の決定を不服としてなされた異議申立てを不適法として棄却した原判決は正当である。 第1 事案の概要:申立人は、高等裁判所が抗告審として下した決定(原々決定)に対し、当該高等裁判所へ異議の申立て…
事件番号: 昭和38(し)46 / 裁判年月日: 昭和38年11月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所が抗告審として下した決定に対しては、その裁判所に異議の申立てをすることはできない。これは刑事訴訟法上の不服申立ての構造に照らし、重ねて同一裁判所による判断を求めることが認められないことを示したものである。 第1 事案の概要:申立人は、高等裁判所が抗告審として下した決定(昭和38年(く)第…