判旨
高等裁判所が抗告審としてした決定に対しては、その裁判所に異議の申立てをすることはできない。したがって、抗告審の決定を不服としてなされた異議申立てを不適法として棄却した原判決は正当である。
問題の所在(論点)
高等裁判所が抗告審(第二審)として行った決定に対し、刑事訴訟法上の「異議の申立て」を行うことができるか。また、その申立てを不適法とした原決定の適法性が問われた。
規範
高等裁判所が抗告審(第二審)として下した決定については、当該裁判所に対して異議を申し立てる(刑事訴訟法428条等参照)ことは認められない。これは裁判の確定及び手続の迅速性の観点から、抗告審の判断に対する更なる不服申立ては、法定された上訴(特別抗告等)によらなければならないとする趣旨である。
重要事実
申立人は、高等裁判所が抗告審として下した決定(原々決定)に対し、当該高等裁判所へ異議の申立てを行った。しかし、当該高等裁判所(原決定)は、抗告審の決定に対して異議を申し立てることはできないとして、当該申立てを不適法として棄却した。これに対し、申立人は憲法違反や判例違反を理由として特別抗告を行ったものである。
あてはめ
最高裁判所は、過去の先例(昭和27年9月10日決定)を引用し、高等裁判所の抗告審判決に対する異議申立てを否定する判断を維持した。本件において、申立人が不服を申し立てている対象は高等裁判所の抗告審としての判断であり、これに対し同裁判所に異議を申し立てることは法的に認められていない。したがって、原決定がこの申立てを不適法として棄却したことに誤りはない。また、特別抗告の理由についても、具体的な判例摘示がない点や、不服の内容が原決定ではなく原々決定に対するものである点から、適法な理由に当たらないと判断される。
結論
高等裁判所の抗告審決定に対する異議申立ては認められない。したがって、当該申立てを棄却した原決定は正当であり、本件特別抗告は棄却される。
事件番号: 昭和38(し)46 / 裁判年月日: 昭和38年11月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所が抗告審として下した決定に対しては、その裁判所に異議の申立てをすることはできない。これは刑事訴訟法上の不服申立ての構造に照らし、重ねて同一裁判所による判断を求めることが認められないことを示したものである。 第1 事案の概要:申立人は、高等裁判所が抗告審として下した決定(昭和38年(く)第…
実務上の射程
刑事手続における不服申立ての構造を確認する基本判例である。答案上では、決定に対する不服申立ての可否が問われた際、抗告、特別抗告、異議の申立ての各制度の排他的関係(特に高裁の抗告審決定に対する不服は特別抗告に限られること)を論述する際の根拠として機能する。
事件番号: 昭和28(し)104 / 裁判年月日: 昭和29年4月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所が抗告審としてした決定に対しては、刑事訴訟法427条により再抗告ができないため、同法428条2項および3項の異議申立ての規定を適用する余地はなく、当該異議申立ては不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、大分地方裁判所による再審請求棄却決定に対し即時抗告をしたが、福岡高等裁判所は即時抗…
事件番号: 昭和28(し)100 / 裁判年月日: 昭和29年2月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所が抗告審としてした決定に対しては、刑事訴訟法427条により再抗告ができないため、同法428条2項及び3項の異議申立てを認める余地はなく、かかる不適法な申立ては特別抗告の対象となり得ない。 第1 事案の概要:申立人は、大分地裁による再審請求棄却決定に対し即時抗告をしたが、福岡高裁から期間経…
事件番号: 昭和28(し)75 / 裁判年月日: 昭和28年10月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所は、裁判所法7条2号に基づき、法律が特に最高裁判所に対して抗告を申し立てることができる旨を定めている場合に限り裁判権を有する。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案であるが、当該抗告は刑訴応急措置法18条に規定する場合に該当せず、また、他に最高裁判所への申し立…
事件番号: 昭和38(ク)332 / 裁判年月日: 昭和38年10月11日 / 結論: その他
競売手続開始決定に対する異議申立の棄却決定に対しては、民訴法第五五八条、裁判所法第一六条第二号により高等裁判所に即時抗告をすることができるのであり、このように不服申立ができる場合には、たとい原決定に憲法解釈の誤りがあることその他憲法の違背あることを理由としても、民訴法第四一九条ノ二による特別抗告の申立は許されない。