競売手続開始決定に対する異議申立の棄却決定に対しては、民訴法第五五八条、裁判所法第一六条第二号により高等裁判所に即時抗告をすることができるのであり、このように不服申立ができる場合には、たとい原決定に憲法解釈の誤りがあることその他憲法の違背あることを理由としても、民訴法第四一九条ノ二による特別抗告の申立は許されない。
競売手続開始決定に対する異議申立の棄却決定に対する特別抗告の適否。
民訴法419条の2
判旨
不服申立ての手段が法律上確保されている場合には、たとえ憲法解釈の誤りや憲法違反を主張する場合であっても、最高裁判所に対する特別抗告は許されない。競売手続開始決定に対する異議申立棄却の決定については、高等裁判所への即時抗告という不服申立手段が存在するため、同決定に対して特別抗告を申し立てることはできず、管轄裁判所に移送すべきである。
問題の所在(論点)
即時抗告が可能な決定に対し、憲法違反を理由として直接最高裁判所へ特別抗告を申し立てることが許されるか。
規範
不服を申し立てることができる場合には、たとい、原決定において憲法の解釈の誤りあることその他憲法の違背あることを理由としても、最高裁判所に対する特別抗告の申立ては許されない。
重要事実
債務者または利害関係人が、本件競売手続開始決定に対する異議申立てを行ったところ、これが棄却された。この棄却決定に対し、不服申立人が憲法違反を理由として最高裁判所へ抗告を申し立てた事案である。
事件番号: 昭和42(ク)28 / 裁判年月日: 昭和42年3月29日 / 結論: 却下
高等裁判所が抗告審としてなした決定に対し、民訴法第四一三条による再抗告は許されない。
あてはめ
本件における競売手続開始決定に対する異議申立の棄却決定に対しては、当時の民事訴訟法(旧法)および裁判所法に基づき、管轄の高等裁判所に即時抗告をすることが法律上認められている。このように通常の方法で不服を申し立てることができる以上、憲法違反の主張を含んでいたとしても、特別抗告の要件を満たさず、管轄高等裁判所(東京高等裁判所)の判断に服すべきである。
結論
本件特別抗告は許されず、管轄権を有する東京高等裁判所に移送すべきである。
実務上の射程
特別抗告は「不服を申し立てることができない決定・命令」を対象とする補充的な救済手段であるため、通常の抗告手段が残されている場合には適用されないという原則を確認したもの。現行法下(民訴法336条1項)でも、通常の抗告が可能な場面で最高裁へ直接特別抗告を申し立てることはできないという点において同様の射程を持つ。
事件番号: 昭和33(ク)110 / 裁判年月日: 昭和33年6月4日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所への特別抗告において、日本国憲法自体の無効を主張する点は憲法違反の主張に当たらず、単なる事実誤認の主張も適法な抗告理由とはならない。 第1 事案の概要:抗告人らが、原決定に対して最高裁判所に抗告を申し立てた事案。その抗告理由において、日本国憲法自体の無効を主張するとともに、原決定における…
事件番号: 昭和38(し)46 / 裁判年月日: 昭和38年11月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所が抗告審として下した決定に対しては、その裁判所に異議の申立てをすることはできない。これは刑事訴訟法上の不服申立ての構造に照らし、重ねて同一裁判所による判断を求めることが認められないことを示したものである。 第1 事案の概要:申立人は、高等裁判所が抗告審として下した決定(昭和38年(く)第…
事件番号: 昭和38(し)45 / 裁判年月日: 昭和38年11月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所が抗告審としてした決定に対しては、その裁判所に異議の申立てをすることはできない。したがって、抗告審の決定を不服としてなされた異議申立てを不適法として棄却した原判決は正当である。 第1 事案の概要:申立人は、高等裁判所が抗告審として下した決定(原々決定)に対し、当該高等裁判所へ異議の申立て…
事件番号: 昭和39(ク)324 / 裁判年月日: 昭和40年7月20日 / 結論: 却下
民訴法第五四七条第二項に基づく強制執行停止の申立に対する裁判に対しては、不服の申立が許されないものと解すべきである。