民訴法第五四七条第二項に基づく強制執行停止の申立に対する裁判に対しては、不服の申立が許されないものと解すべきである。
民訴法第五四七条第二項に基づく強制執行停止の申立に対する裁判に対して不服の申立が許されるか。
民訴法547条2項,民訴法500条3項
判旨
請求異議の訴えに伴う強制執行停止申立てに対する裁判は、本案に付随する一時的応急的な性質を有するため、民事訴訟法500条3項を類推適用し、不服申立てを許さない。ただし、憲法違反を理由とする特別抗告については、法419条の2に基づき最高裁判所へ申し立てることが可能である。
問題の所在(論点)
請求異議の訴えに附帯してなされる強制執行停止の申立てを棄却した決定に対し、通常抗告または特別抗告による不服申立てが認められるか。特に、民訴法条文上の明文がない場合の不服申立ての可否が問題となる。
規範
請求異議の訴え等に係る強制執行停止の裁判は、本案の手続に付随し、本案の裁判がなされるまでの一時的応急的な裁判の性質を有する。したがって、上訴等の不服申立てが規定されていない判決以外の裁判に対する不服申立てを制限する趣旨から、旧民訴法500条3項(現行の執行停止規定等に関連)を類推適用し、原則として不服申立てを許さないと解するのが相当である。ただし、最高裁判所に対する特別抗告(法419条の2)に限り、憲法解釈の誤りや憲法違反を理由とする場合に認められる。
重要事実
抗告人は、山口地方裁判所(判決文では「出口」と誤植の可能性あり)に対して請求異議の訴えを提起し、併せて旧民訴法547条2項に基づき強制執行の停止を申し立てた。同裁判所がこの申立てを棄却する決定を下したため、抗告人は当該決定を不服として最高裁判所に抗告を申し立てた。抗告人は憲法違反を主張の形式として用いていたが、その実質は決定の単なる法令違背を主張するものであった。
事件番号: 昭和38(ク)332 / 裁判年月日: 昭和38年10月11日 / 結論: その他
競売手続開始決定に対する異議申立の棄却決定に対しては、民訴法第五五八条、裁判所法第一六条第二号により高等裁判所に即時抗告をすることができるのであり、このように不服申立ができる場合には、たとい原決定に憲法解釈の誤りがあることその他憲法の違背あることを理由としても、民訴法第四一九条ノ二による特別抗告の申立は許されない。
あてはめ
本件における強制執行停止の裁判は、本案である請求異議訴訟の結果が出るまでの暫定的な措置であり、確定的な権利関係を定めるものではない。このような一時的応急的な裁判については、迅速な手続進行の必要性から不服申立てを認めない旧民訴法500条3項の理が妥当する。本件抗告人は最高裁判所への抗告を行っているが、その主張内容は憲法違反の具体的根拠を欠き、実質的には単なる法令違背の主張にすぎない。これは特別抗告(法419条の2)の要件を満たさないものであるといえる。
結論
本件抗告は不適法であり、却下を免れない。強制執行停止申立てに対する棄却決定には原則として不服申立てをなし得ず、憲法違反の主張も実質を伴わないため、適法な抗告として受理できない。
実務上の射程
民事執行法上の執行停止の裁判に関する不服申立ての可否を論じる際の基礎となる判例である。現行法下でも、民事執行法36条や117条等に基づく執行停止決定について、明文の抗告規定がない場合の不服申立て制限の法理として参照される。答案上は、決定の『付随的・一時的・応急的性質』から不服申立ての制限を導く論理構成に用いる。
事件番号: 昭和24(ク)21 / 裁判年月日: 昭和24年9月28日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、民事訴訟法等の法令において特に最高裁判所への申し立てが許容されている場合に限り認められ、これに該当しない抗告は不適法である。 第1 事案の概要:抗告人らが最高裁判所に対して抗告を申し立てたが、当該抗告が法律の規定により最高裁判所に申し立てることが特に許容された類型に該当す…
事件番号: 昭和26(ク)119 / 裁判年月日: 昭和26年7月20日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告に関して裁判権を有するのは、法律により特に許された場合に限られ、その理由は憲法違反の判断を不当とするものに限定される。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた。しかし、その抗告理由の内容は、原決定における憲法適合性の判断を不当とするものではなかった。…
事件番号: 昭和26(ク)26 / 裁判年月日: 昭和26年5月11日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告について裁判権を有するのは、訴訟法上特に許容された場合に限られ、民事事件においては憲法違反を理由とする特別抗告のみが認められる。 第1 事案の概要:抗告人が、最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案。抗告理由は、原決定において法律・命令・規則または処分が憲法に適合するか否かについての…
事件番号: 昭和42(ク)28 / 裁判年月日: 昭和42年3月29日 / 結論: 却下
高等裁判所が抗告審としてなした決定に対し、民訴法第四一三条による再抗告は許されない。