判旨
高等裁判所が抗告審として下した決定に対しては、その裁判所に異議の申立てをすることはできない。これは刑事訴訟法上の不服申立ての構造に照らし、重ねて同一裁判所による判断を求めることが認められないことを示したものである。
問題の所在(論点)
抗告審としての役割を果たす高等裁判所の決定に対し、同一の高等裁判所に対して異議を申し立てることができるか、その可否が問題となる。
規範
高等裁判所が抗告審として行った裁判については、刑事訴訟法上、当該裁判所に対する異議の申立て(準抗告を含む)を認める規定は存在せず、法はこれを不適法なものとして許容しない。
重要事実
申立人は、高等裁判所が抗告審として下した決定(昭和38年(く)第5号事件等)に対し、不服を抱いて当該高等裁判所に異議の申立てを行った。しかし、原決定(高等裁判所)はこれを不適法として棄却したため、申立人が最高裁判所に対し、判例違反および憲法違反を理由に特別抗告を申し立てた事案である。
あてはめ
刑事訴訟法上の手続構造において、高等裁判所の裁判に対する不服は、特別の規定がある場合を除き、上級裁判所への上告や特別抗告によって争われるべきものである。本件において申立人が行った異議の申立ては、刑事訴訟法第428条等の規定に照らしても、抗告審の判断を再考させる手続として認められない。したがって、原決定が申立人の異議申立てを不適法とした判断に誤りはない。
結論
抗告審としての高等裁判所の決定に対し、当該裁判所に異議を申し立てることは不適法であり、これを棄却した原決定は正当である。
実務上の射程
本判決は、刑事訴訟手続における不服申立ての排他性を確認するものである。答案上は、決定に対する救済手段を検討する際、特に高裁が既に出した抗告審の判断に対し、さらなる異議申立ての余地がないことを論証する際に用いる。
事件番号: 昭和38(し)45 / 裁判年月日: 昭和38年11月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所が抗告審としてした決定に対しては、その裁判所に異議の申立てをすることはできない。したがって、抗告審の決定を不服としてなされた異議申立てを不適法として棄却した原判決は正当である。 第1 事案の概要:申立人は、高等裁判所が抗告審として下した決定(原々決定)に対し、当該高等裁判所へ異議の申立て…
事件番号: 昭和28(し)104 / 裁判年月日: 昭和29年4月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所が抗告審としてした決定に対しては、刑事訴訟法427条により再抗告ができないため、同法428条2項および3項の異議申立ての規定を適用する余地はなく、当該異議申立ては不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、大分地方裁判所による再審請求棄却決定に対し即時抗告をしたが、福岡高等裁判所は即時抗…
事件番号: 昭和36(し)36 / 裁判年月日: 昭和36年8月28日 / 結論: 棄却
一 検察官が裁判の執行指揮その他の処分をする以前になされた裁判の執行に関する異議の申立は不適法である。 二 裁判の執行に関する異議において、裁判の内容そのものの不当を主張し、あるいは現行刑罰制度ないし行刑制度を非難することは許されない。
事件番号: 昭和49(し)77 / 裁判年月日: 昭和49年9月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所が抗告裁判所として下した決定に対しては再抗告が許されないため、刑事訴訟法428条に基づく異議の申立ては認められない。 第1 事案の概要:抗告人が、高等裁判所が抗告裁判所としてした決定に対し、具体的な憲法違反の主張を欠く特別抗告(刑事訴訟法433条)を申し立てた事案。その手続過程において、…
事件番号: 昭和28(し)100 / 裁判年月日: 昭和29年2月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所が抗告審としてした決定に対しては、刑事訴訟法427条により再抗告ができないため、同法428条2項及び3項の異議申立てを認める余地はなく、かかる不適法な申立ては特別抗告の対象となり得ない。 第1 事案の概要:申立人は、大分地裁による再審請求棄却決定に対し即時抗告をしたが、福岡高裁から期間経…