一 検察官が裁判の執行指揮その他の処分をする以前になされた裁判の執行に関する異議の申立は不適法である。 二 裁判の執行に関する異議において、裁判の内容そのものの不当を主張し、あるいは現行刑罰制度ないし行刑制度を非難することは許されない。
一 検察官が執行指揮その他の処分をする以前になされた裁判の執行に関する異議申立の適否。 二 裁判の執行に関する異議申立の理由。
刑訴法502条
判旨
刑事訴訟法502条に基づく異議の申立ては、検察官による具体的な裁判の執行指揮その他の処分が存在することを要し、処分がなされる前に行うことはできない。また、同条により裁判の内容自体の不当や行刑制度そのものを非難することは許されない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法502条に基づく「裁判の執行に関する検察官の処分」に対する異議申立ての要件、および処分がなされる前の申立ての可否が問題となる。
規範
刑事訴訟法502条の異議申立てが適法となるためには、①検察官によって「裁判の執行に関し」なされた具体的な「処分」が存在すること、および②当該処分が不当であることを主張することを要する。したがって、検察官が未だ執行指揮等の処分を行っていない段階での申立てや、裁判の内容自体の不当、あるいは現行の刑罰・行刑制度そのものに対する不服を理由とする申立ては認められない。
重要事実
申立人が、裁判の執行に関して検察官のした処分が不当であるとして、刑事訴訟法502条に基づき異議の申立てを行った事案。しかし、本件において検察官は未だ当該裁判の執行指揮その他の具体的な処分を行っておらず、申立人は裁判の内容そのものの不当性や現行の制度自体を批判して異議を申し立てていた。
事件番号: 昭和38(し)46 / 裁判年月日: 昭和38年11月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所が抗告審として下した決定に対しては、その裁判所に異議の申立てをすることはできない。これは刑事訴訟法上の不服申立ての構造に照らし、重ねて同一裁判所による判断を求めることが認められないことを示したものである。 第1 事案の概要:申立人は、高等裁判所が抗告審として下した決定(昭和38年(く)第…
あてはめ
本件では、異議の対象となるべき「執行に関し検察官のした処分」が未だ存在しない。申立人が主張する内容は、裁判の内容そのものの不当性や行刑制度の非難に帰するものであり、同条が予定する「検察官の処分の不当」を争うものとはいえない。したがって、処分の存在という前提を欠く本件申立ては不適法であると解される。
結論
本件異議申立ては、対象となる処分が存在しないため不適法であり、棄却されるべきである。
実務上の射程
刑事訴訟法502条の救済範囲を、確定した裁判の「執行プロセスにおける検察官の裁量」に対する事後的・個別的な不服申立てに限定するものである。執行前の予防的申立てや、判決の当否(再審等で争うべき事項)を争う手段としての利用を明確に否定しており、答案作成上は申立ての適格性を論じる際の重要な規範となる。
事件番号: 昭和39(し)68 / 裁判年月日: 昭和40年2月9日 / 結論: 棄却
簡易裁判所がした、裁判の執行の異議申立を却下する決定に対し、特別抗告の申立があつても、右決定に対しては刑訴法第五〇四条により即時抗告をすることができるのであるから、直接最高裁判所に対しなされた右特別抗告は、刑訴法第四三三条第一項の要件を具えない不適法なものである。
事件番号: 昭和56(し)66 / 裁判年月日: 昭和56年6月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】即時抗告を棄却する決定に対して異議を申し立てることはできず、これに対する特別抗告は不適法である。また、特別抗告の提起期間は刑訴法433条2項に基づき、告知の日から5日以内と厳格に解される。 第1 事案の概要:申立人は、大阪地方裁判所になされた訴訟費用執行免除の申立てを却下する決定に対し、即時抗告を…
事件番号: 昭和54(し)25 / 裁判年月日: 昭和54年3月26日 / 結論: 棄却
一 刑法二三条は、自由刑に処する裁判を受けた者が当該事件に関して拘禁されている場合にその裁判確定の日から刑期を起算する趣旨の規定であつて、当該事件に関して拘禁されていない場合には、たまたま他事件に関し拘禁されていても同条一項の適用はない。 二 懲役刑の裁判確定当時他事件につき勾留され当該事件に関しては拘禁されていなかつ…
事件番号: 昭和58(し)112 / 裁判年月日: 昭和58年11月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判の執行に関する異議(刑訴法502条)において、執行の基礎となる裁判自体の内容の不当を申し立てることは許されない。 第1 事案の概要:抗告人は、確定した裁判の執行に関して異議を申し立てた。その際、異議の理由として、裁判の内容そのものが憲法31条に違反するなどの不当性があることを主張した。 第2 …