裁判の執行に関する異議において、裁判の内容そのものの不当を主張することの適否
刑訴法502条
判旨
裁判の執行に関する異議(刑訴法502条)において、執行の基礎となる裁判自体の内容の不当を申し立てることは許されない。
問題の所在(論点)
裁判の執行に関する異議(刑訴法502条)において、執行対象である裁判自体の内容の不当を主張することが許されるか。
規範
刑事訴訟法502条の裁判の執行に関する異議の申立ては、執行手続自体の違法や不当を争うための手続である。したがって、執行の前提となる裁判そのものの実体的・手続的な内容の不当を主張することは認められない。
重要事実
抗告人は、確定した裁判の執行に関して異議を申し立てた。その際、異議の理由として、裁判の内容そのものが憲法31条に違反するなどの不当性があることを主張した。
あてはめ
抗告人の主張は、執行手続の瑕疵を問うものではなく、裁判の内容そのものの不当をいうものである。しかし、裁判の執行に関する異議は、裁判の存在を前提とした執行の態様等を争う制度である。本件のように、既に確定した裁判自体の当否を争うことは、異議申立て制度の本旨を逸脱するものであり、許容されない。
事件番号: 平成9(し)67 / 裁判年月日: 平成9年5月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判の執行に関する異議の手続は、憲法82条が公開を要求する「裁判の対審及び判決」には当たらない。したがって、同手続を書面審理により行うことは憲法32条及び82条に違反しない。 第1 事案の概要:本件は、刑事裁判の執行に関する異議の手続(刑訴法502条等)について、その審理及び裁判が公開の法廷で行わ…
結論
本件抗告を棄却する。裁判の内容そのものの不当を主張することは、裁判の執行に関する異議の理由とはならない。
実務上の射程
刑事訴訟法502条に基づく異議申立てを論じる際、申立ての理由として執行手続以外(裁判自体の不服)が含まれている場合に、その主張の不適法を指摘する際の根拠として用いる。再審等の手段によらずに裁判の内容を争うことはできないという既判力の執行法的側面を示す判例である。
事件番号: 昭和38(し)46 / 裁判年月日: 昭和38年11月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所が抗告審として下した決定に対しては、その裁判所に異議の申立てをすることはできない。これは刑事訴訟法上の不服申立ての構造に照らし、重ねて同一裁判所による判断を求めることが認められないことを示したものである。 第1 事案の概要:申立人は、高等裁判所が抗告審として下した決定(昭和38年(く)第…
事件番号: 昭和36(し)36 / 裁判年月日: 昭和36年8月28日 / 結論: 棄却
一 検察官が裁判の執行指揮その他の処分をする以前になされた裁判の執行に関する異議の申立は不適法である。 二 裁判の執行に関する異議において、裁判の内容そのものの不当を主張し、あるいは現行刑罰制度ないし行刑制度を非難することは許されない。
事件番号: 昭和44(し)50 / 裁判年月日: 昭和44年11月11日 / 結論: 棄却
刑の執行猶予言渡の取消決定に対する即時抗告棄却決定が当該刑の言渡を受けた者に告知された後に刑の執行猶予期間が経過した場合には、この棄却決定に対して適法な特別抗告の申立があつても、同決定の執行が停止されないかぎり、同決定の告知により執行猶予言渡の取消の効果が発生し、刑の執行をなしうるものであることは、最高裁判所昭和四〇年…
事件番号: 昭和39(し)68 / 裁判年月日: 昭和40年2月9日 / 結論: 棄却
簡易裁判所がした、裁判の執行の異議申立を却下する決定に対し、特別抗告の申立があつても、右決定に対しては刑訴法第五〇四条により即時抗告をすることができるのであるから、直接最高裁判所に対しなされた右特別抗告は、刑訴法第四三三条第一項の要件を具えない不適法なものである。