判旨
旧刑事訴訟法が適用される事件において、最高裁判所に対する抗告は、訴訟法が特に最高裁判所に抗告をなしうる旨を定めた場合に限り許容される。
問題の所在(論点)
旧刑事訴訟法が適用される事件において、特別の規定がない場合に最高裁判所に対して直接抗告を行うことが許されるか、その適法性が問題となった。
規範
刑訴施行法2条に基づく旧刑訴事件において、最高裁判所に対する抗告が認められるのは、刑訴応急措置法18条等の特別の規定により、訴訟法が特に最高裁判所への抗告を認めている場合に限られる。これ以外の不服申立ては、不適法として却下されるべきである。
重要事実
申立人は、旧刑事訴訟法が適用される事件(旧刑訴事件)に関して、最高裁判所に対し抗告を申し立てた。しかし、当該抗告は刑訴応急措置法18条等の「最高裁判所に抗告をすることができる」旨を定めた特則に基づくものではなかった。
あてはめ
本件抗告について理由書を検討するに、刑訴応急措置法18条等の訴訟法が最高裁判所に抗告し得ると定めた特則に該当する事情は認められない。したがって、最高裁判所の判例が示す判断枠組みに照らせば、本件抗告は特則のない不適法な申立てであると判断される。
結論
本件抗告は不適法であり、刑訴施行法2条および旧刑訴法466条1項に基づき棄却される。
実務上の射程
新憲法施行に伴う経過措置(刑訴施行法、応急措置法)下における不服申立ての可否を判断した事例である。現代の刑事訴訟法下では直接参照する場面は限定的だが、管轄や上訴の適法性を判断する際の「法律の特別の定め」の厳格な解釈手法として意義を有する。
事件番号: 昭和39(し)90 / 裁判年月日: 昭和40年4月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧法下で終結した事件の再審請求に対する高等裁判所の決定については、旧刑訴法及び刑訴応急措置法が適用され、最高裁判所への即時抗告は許されず、憲法違反等の事由がある場合の特別抗告のみが認められる。 第1 事案の概要:本件は、旧旧刑訴法の下で公訴が提起され、かつ終結した強盗殺人事件である。これに対する再…
事件番号: 昭和28(し)16 / 裁判年月日: 昭和28年5月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対しては、法律により特に許された場合を除き、抗告を申し立てることはできない。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案。本件の抗告理由は、法律(刑訴応急措置法18条等)において例外的に最高裁判所への抗告が認められている事由には該当しないものであった。 第2 問題…
事件番号: 昭和28(し)75 / 裁判年月日: 昭和28年10月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所は、裁判所法7条2号に基づき、法律が特に最高裁判所に対して抗告を申し立てることができる旨を定めている場合に限り裁判権を有する。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案であるが、当該抗告は刑訴応急措置法18条に規定する場合に該当せず、また、他に最高裁判所への申し立…
事件番号: 昭和28(し)18 / 裁判年月日: 昭和28年4月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧刑事訴訟法が適用される事件において、高等裁判所の決定に対し最高裁判所へ抗告をすることは、訴訟法において特に認められた場合を除き許されない。 第1 事案の概要:申立人は、東京高等裁判所が下した再審請求棄却決定を不服として、最高裁判所に対して抗告を申し立てた。本件は刑訴施行法2条に基づき旧刑事訴訟法…
事件番号: 昭和44(し)28 / 裁判年月日: 昭和44年6月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧刑事訴訟法下で提起された事件の再審請求について、高等裁判所がなした決定に対する即時抗告は認められず、憲法違反を理由とする特別抗告のみが可能である。 第1 事案の概要:窃盗被告事件について旧刑事訴訟法(大正11年法律第75号)の下で公訴が提起され、終結した。その後、当該事件について再審請求がなされ…