判旨
旧刑事訴訟法下で提起された事件の再審請求について、高等裁判所がなした決定に対する即時抗告は認められず、憲法違反を理由とする特別抗告のみが可能である。
問題の所在(論点)
旧刑事訴訟法の規定に従って終了した事件の再審請求に対する高等裁判所の決定について、即時抗告の申立てが許されるか。また、特別抗告として受理するための要件は何か。
規範
最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、裁判所法7条2号にいう「訴訟法において特に定める抗告」に限られる。旧刑事訴訟法および刑事訴訟法応急措置法が適用される事案において、高等裁判所の決定に対する抗告は、同法18条所定の憲法違反を理由とする特別抗告のみが認められ、旧刑事訴訟法に基づく即時抗告の申立ては許されない。
重要事実
窃盗被告事件について旧刑事訴訟法(大正11年法律第75号)の下で公訴が提起され、終結した。その後、当該事件について再審請求がなされ、高等裁判所が決定を下したのに対し、請求人が即時抗告を申し立てた事案である。刑事訴訟法施行法2条により、本件には旧刑事訴訟法および日本国憲法の施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に関する法律(応急措置法)が適用される状況にあった。
あてはめ
本件は旧刑訴法下で終結した事件であるため、施行法2条により旧法および応急措置法が適用される。応急措置法の下では、高等裁判所の決定に対する不服申立ては、同法18条に規定された憲法違反を主張する特別抗告のみに限定されている。本件申立ては形式上「即時抗告」としてなされており、手続法上許されない。また、仮にこれを特別抗告とみなしたとしても、抗告理由は原決定の憲法違反を主張するものではなく、適法な特別抗告理由を具備していないといえる。
結論
本件即時抗告は不適法であり、棄却されるべきである。
事件番号: 昭和39(し)90 / 裁判年月日: 昭和40年4月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧法下で終結した事件の再審請求に対する高等裁判所の決定については、旧刑訴法及び刑訴応急措置法が適用され、最高裁判所への即時抗告は許されず、憲法違反等の事由がある場合の特別抗告のみが認められる。 第1 事案の概要:本件は、旧旧刑訴法の下で公訴が提起され、かつ終結した強盗殺人事件である。これに対する再…
実務上の射程
法改正時の経過措置(施行法)の適用関係を示す裁判例。現行刑事訴訟法433条の特別抗告の法理にも通ずるが、特に旧法適用事案における抗告権の範囲を限定的に解釈している点に意義がある。
事件番号: 昭和43(し)107 / 裁判年月日: 昭和44年1月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧刑事訴訟法下で終結した事件の再審請求棄却決定に対し、旧法に基づく即時抗告は許されず、特別抗告としてみても事実誤認の主張のみでは不適法である。 第1 事案の概要:強盗殺人および銃砲等所持禁止令違反の罪で旧刑事訴訟法(大正11年法律第75号)の下に公訴が提起され、終結した事件について、被告人が再審請…
事件番号: 昭和40(し)17 / 裁判年月日: 昭和43年4月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所は、上告のほか訴訟法において特に定める抗告についてのみ裁判権を有するところ、旧法事件において右にいう抗告とは、刑訴応急措置法18条による抗告のみをいう。 第1 事案の概要:抗告人は、原裁判所がした再審請求棄却決定を不服として、旧刑訴法510条に基づき最高裁判所に対して即時抗告を申し立てた…
事件番号: 昭和29(し)63 / 裁判年月日: 昭和29年12月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法施行法2条に基づき旧刑事訴訟法が適用される事件において、最高裁判所に対する抗告は、刑事訴訟法応急措置法18条等の特別の規定がある場合に限り許容される。本件は当該規定に定められた理由を主張するものではないため、不適法として棄却されるべきである。 第1 事案の概要:本件は旧刑事訴訟法が適用さ…
事件番号: 昭和43(し)35 / 裁判年月日: 昭和43年5月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が管轄権を有する抗告は、上告のほか、訴訟法において特に定めるもの(旧法事件においては刑訴応急措置法18条による抗告)に限られる。これに当たらない抗告理由は不適法として棄却されるべきである。 第1 事案の概要:抗告人は、原裁判所が下した即時抗告棄却決定に対し、旧刑事訴訟法469条2号を根拠…