判旨
最高裁判所が管轄権を有する抗告は、上告のほか、訴訟法において特に定めるもの(旧法事件においては刑訴応急措置法18条による抗告)に限られる。これに当たらない抗告理由は不適法として棄却されるべきである。
問題の所在(論点)
旧刑事訴訟法下の事件において、最高裁判所に対し旧刑訴法469条2号に基づき申し立てられた抗告が、裁判所法7条にいう「訴訟法において特に定める抗告」として適法なものといえるか。
規範
裁判所法7条に基づき、最高裁判所が裁判権を有する抗告は、上告のほか、訴訟法において特に定めるものに限定される。旧刑事訴訟法下の事件(旧法事件)においては、この「特に定める抗告」とは刑事訴訟法応急措置法18条による抗告のみを指す。
重要事実
抗告人は、原裁判所が下した即時抗告棄却決定に対し、旧刑事訴訟法469条2号を根拠として最高裁判所に抗告を申し立てた。本件は、新刑事訴訟法施行前の規定が適用されるいわゆる「旧法事件」に該当する事案であった。
あてはめ
裁判所法7条の規定によれば、最高裁判所の管轄は限定的である。旧法事件において最高裁への抗告が認められるのは刑訴応急措置法18条所定の理由がある場合に限られるところ、本件抗告人が主張する旧刑訴法469条2号の理由はこれに該当しないことが明らかである。したがって、本件申立は適法な抗告の要件を欠いていると評価される。
結論
本件抗告は不適法であり、棄却を免れない。
実務上の射程
最高裁判所の管轄権の限定性を確認する趣旨で引用される。特に、新旧法の経過措置が問題となる局面において、上訴・抗告の適法性を判断する際の基礎となる。実務上は、特別抗告等を含め、法に明文の根拠がない限り最高裁への不服申立ては許されないという原則を基礎づける。
事件番号: 昭和44(し)28 / 裁判年月日: 昭和44年6月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧刑事訴訟法下で提起された事件の再審請求について、高等裁判所がなした決定に対する即時抗告は認められず、憲法違反を理由とする特別抗告のみが可能である。 第1 事案の概要:窃盗被告事件について旧刑事訴訟法(大正11年法律第75号)の下で公訴が提起され、終結した。その後、当該事件について再審請求がなされ…
事件番号: 昭和23(つ)35 / 裁判年月日: 昭和23年12月20日 / 結論: 棄却
最高裁判所に對しては、刑訴應急措置法第一八條のように、特に最高裁判所に抗告を申立てることを許された場合の外、抗告をすることは許されないものであることは、既に當裁判所の判例とするところである。(昭和二二年(つ)第七號事件同年一二月八日大法廷決定參照)
事件番号: 昭和39(し)90 / 裁判年月日: 昭和40年4月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧法下で終結した事件の再審請求に対する高等裁判所の決定については、旧刑訴法及び刑訴応急措置法が適用され、最高裁判所への即時抗告は許されず、憲法違反等の事由がある場合の特別抗告のみが認められる。 第1 事案の概要:本件は、旧旧刑訴法の下で公訴が提起され、かつ終結した強盗殺人事件である。これに対する再…
事件番号: 昭和43(し)107 / 裁判年月日: 昭和44年1月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧刑事訴訟法下で終結した事件の再審請求棄却決定に対し、旧法に基づく即時抗告は許されず、特別抗告としてみても事実誤認の主張のみでは不適法である。 第1 事案の概要:強盗殺人および銃砲等所持禁止令違反の罪で旧刑事訴訟法(大正11年法律第75号)の下に公訴が提起され、終結した事件について、被告人が再審請…
事件番号: 昭和29(し)63 / 裁判年月日: 昭和29年12月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法施行法2条に基づき旧刑事訴訟法が適用される事件において、最高裁判所に対する抗告は、刑事訴訟法応急措置法18条等の特別の規定がある場合に限り許容される。本件は当該規定に定められた理由を主張するものではないため、不適法として棄却されるべきである。 第1 事案の概要:本件は旧刑事訴訟法が適用さ…