判旨
旧刑事訴訟法下の上告棄却判決に対する再審請求は、旧刑訴法488条1項に規定された限定的な事由がある場合にのみ認められる。新規証拠の発見(新証拠)は同項所定の再審事由には含まれず、これを理由とする再審請求は不適法である。
問題の所在(論点)
旧刑事訴訟法施行法2条の適用を受ける確定判決に対する再審請求において、新規証拠の発見が、旧刑事訴訟法488条1項所定の再審事由として認められるか。
規範
刑事訴訟法施行法2条の適用を受ける旧法事件について、最高裁判所がした上告棄却の確定判決に対する再審請求が適法となるためには、旧刑事訴訟法488条1項に掲げられた各事由(有罪の言渡しを受けた者に対して無罪を言い渡すべき事由等)のいずれかに該当しなければならない。
重要事実
申立人は、旧刑事訴訟法事件において最高裁判所が下した上告棄却の確定判決に対し、再審を請求した。申立人が主張した再審理由は、有罪の言渡しを受けた者に対して無罪を言い渡すべき証拠を新たに発見した(いわゆる新規証拠の発見)というものであった。
あてはめ
旧刑事訴訟法488条1項は、上告棄却の確定判決に対する再審事由を限定的に列挙している。申立人が主張する「無罪を言い渡すべき新証拠の発見」は、同条項に定められた事由には該当しない。したがって、本件再審請求は、法が定める適法な再審事由に基づかない不適法な申し立てであるといえる。
結論
本件再審請求を棄却する。新規証拠の発見は旧刑訴法488条1項の再審事由に当たらないため、請求は不適法である。
実務上の射程
本判決は、新旧刑事訴訟法の過渡期における再審事由の適用範囲を明確にしたものである。現在の実務上、旧法下の確定判決に対する救済を検討する際、再審事由の存否を判断するための形式的な基準として機能する。
事件番号: 昭和28(し)18 / 裁判年月日: 昭和28年4月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧刑事訴訟法が適用される事件において、高等裁判所の決定に対し最高裁判所へ抗告をすることは、訴訟法において特に認められた場合を除き許されない。 第1 事案の概要:申立人は、東京高等裁判所が下した再審請求棄却決定を不服として、最高裁判所に対して抗告を申し立てた。本件は刑訴施行法2条に基づき旧刑事訴訟法…
事件番号: 昭和28(き)16 / 裁判年月日: 昭和28年12月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告棄却の確定判決に対する再審の請求は、当該上告審判決自体に再審事由(刑訴法435条、436条各号相当)がある場合に限り許容される。 第1 事案の概要:本件は、上告を棄却した確定判決に対し、請求人が再審の請求を申し立てた事案である。請求人は別紙記載の事由(詳細は判決文からは不明)を再審事由として主…
事件番号: 昭和40(き)1 / 裁判年月日: 昭和41年4月19日 / 結論: 棄却
刑訴法施行法第二条、第三条の二の規定により上告棄却判決があつた事件についての、上告棄却確定判決に対する再審請求は、旧刑訴法第四八八条第一項所定の各原由があるときにかぎり許される。
事件番号: 昭和26(し)58 / 裁判年月日: 昭和26年9月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所は、訴訟法において特に認められた場合に限り抗告の裁判権を有し、高等裁判所の再審請求棄却決定に対して憲法違反を主張しない抗告は不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、福岡高等裁判所がなした再審請求棄却決定に対し、旧刑事訴訟法510条に基づいて最高裁判所に抗告を申し立てた。しかし、当該抗…
事件番号: 昭和27(き)3 / 裁判年月日: 昭和28年7月24日 / 結論: 棄却
上告を棄却した確定判決に対する再審の請求は、当該確定判決自体に刑訴第四三六条第一項所定の事由があることを理由とするときにのみ許される。