判旨
酒税法において特定の民族に対する差別待遇を目的とした規定は存在せず、憲法上の平等原則に反するものではない。また、控訴審で主張していない事項は、上告理由として適法なものとは認められない。
問題の所在(論点)
1. 控訴審で主張していない事項を上告理由とすることができるか。2. 酒税法が特定の民族を差別する内容であり、憲法に違反するか。
規範
特定の法律が憲法に違反するか否かは、当該法律の規定内容が合理的な理由なく差別的待遇を設けているかにより判断される。また、刑事訴訟法上、控訴審で主張せず、原判決が判断していない事項を上告理由とすることは、原則として適法な上告理由には当たらない。
重要事実
被告人が酒税法違反等の罪で起訴された事案において、弁護人は上告審で初めて、本件告発手続の違憲性、酒税法が朝鮮人に対して差別的待遇をしていることによる憲法違反、および原判決の法令解釈の誤りを主張し、量刑不当を訴えた。
あてはめ
まず、第一点の上告理由は控訴審において主張されておらず、原判決も判断していないため、上告理由の前提を欠く。また、記録によれば告発手続は適法である。次に、酒税法には朝鮮人に対して差別待遇をする趣旨の規定は存在しないため、憲法違反の主張は当たらない。最後に、量刑不当や具体的事例を示さない判例違反の主張は、実質的に単なる法令違反の主張であり、適法な上告理由に該当しない。
結論
本件上告は棄却される。酒税法に差別的規定は認められず、憲法違反の主張は理由がない。
実務上の射程
刑事訴訟法における上告理由の制限(控訴審での主張の要否)および、租税法規(酒税法)における平等原則の適用範囲を確認する際に参照される。特段の差別規定がない限り、法の下の平等に反しないとする簡潔な判断基準を示している。
事件番号: 昭和26(あ)739 / 裁判年月日: 昭和27年10月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】人種等の属性を理由とした差別的な待遇の有無は、記録上の客観的な形跡に基づいて判断されるべきであり、具体的な差別事実が認められない場合には、違憲や違法の主張はその前提を欠くものとして退けられる。 第1 事案の概要:被告人が朝鮮人であるという属性を理由に、刑事手続において差別的な待遇を受けたとして上告…