判旨
人種等の属性を理由とした差別的な待遇の有無は、記録上の客観的な形跡に基づいて判断されるべきであり、具体的な差別事実が認められない場合には、違憲や違法の主張はその前提を欠くものとして退けられる。
問題の所在(論点)
刑事訴訟において、被告人の出自(朝鮮人であること)を理由とした差別待遇が存在する場合、それが適法な上告理由(刑訴法405条、411条等)になり得るか、また本件においてその事実が認められるか。
規範
憲法14条1項の法の下の平等に反する差別待遇の有無については、当該事案の記録に照らし、人種等の特定の属性を理由として不利益な取り扱いをされた客観的な形跡が認められるか否かによって判断する。
重要事実
被告人が朝鮮人であるという属性を理由に、刑事手続において差別的な待遇を受けたとして上告を申し立てた事案。弁護人は、被告人が朝鮮人であるために不当な差別を受けたと主張した。
あてはめ
記録を詳細に精査しても、被告人が朝鮮人であることを理由として差別待遇を受けたと認めるに足りる具体的な形跡は見当たらない。したがって、差別待遇が存在することを前提とする弁護人の主張は、その前提事実を欠いていると言わざるを得ない。
結論
被告人が差別待遇を受けた事実は認められず、刑訴法405条所定の上告理由及び411条適用の事由は存在しないため、本件上告を棄却する。
実務上の射程
本判決は、差別待遇の主張に対し、記録上の具体的な根拠(形跡)を要求する実務上の態度を示したものである。答案上は、憲法14条違反等を主張する際に、単なる抽象的な主張にとどまらず、手続上の具体的・客観的な差別事実の摘示が必要であることを論じる際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和28(あ)2070 / 裁判年月日: 昭和28年8月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】酒税法に朝鮮人に対する差別的な規定は存在せず、また酒類製造免許の申請が朝鮮人であることを理由に不許可とされた事実も認められないため、憲法14条違反には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が酒類製造免許の申請を行ったところ、不許可となった。被告人側は、この不許可処分が朝鮮人であることを理由とする差…