判旨
朝鮮人に対して酒類製造免許を与えないという規定は存在せず、憲法14条に反しない。また、被告人の主張する自家用製造の事実は認められないため、当該事実を前提とした違憲主張も失当である。
問題の所在(論点)
酒類製造免許制度が朝鮮人を差別するものであり、憲法14条に違反するか。また、自家用酒類製造の事実に基づき違憲主張をなし得るか。
規範
法の下の平等を定める憲法14条違反が認められるためには、対象となる法令自体に差別的な規定が存在するか、あるいは法運用において不当な差別がなされていることを要する。また、前提となる事実に欠ける場合は、違憲の主張は成立しない。
重要事実
被告人が、免許を受けることなく濁酒を製造したとして酒税法違反に問われた事案。被告人は上告審において、朝鮮人には酒類製造免許が与えられない運用であり憲法14条の平等原則に反すること、および本件製造が自家用であることから処罰は不当であることを主張した。
あてはめ
まず、当時の法令において朝鮮人に対してのみ酒類製造の免許を与えないという規定は存在しない。したがって、人種や信条を理由とする差別を禁じた憲法14条に違反するとの主張は根拠を欠く。次に、被告人は「自家用に供するために濁酒を製造した」と主張するが、これは第一審判決で認定されていない新事実であり、上告審において前提とすることはできない。よって、自家用製造であることを前提とした憲法違反の主張も成り立たない。
結論
本件における酒税法違反の処罰は、憲法14条に違反せず、上告は棄却されるべきである。
実務上の射程
極めて簡潔な判決であるが、憲法14条違反を主張する際、まず前提となる『差別的な法的措置の存否』および『認定された事実の有無』が論理的前提となることを示している。実務上は、制度自体の合憲性を争う前に、その前提事実が確定しているかを検討すべきという教訓として機能する。
事件番号: 昭和27(あ)3737 / 裁判年月日: 昭和29年3月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】酒税法の規定が特定の人種を差別することなく平等に適用されている場合、憲法14条1項等の法の下の平等に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が、酒税法14条および60条の規定について、朝鮮人と日本人を差別するものであり憲法に違反すると主張して上告した事案である。 第2 問題の所在(論点):酒税法14…