判旨
外国人に対し居住地の市町村長への登録を義務付け、違反を処罰する外国人登録令の規定は、憲法22条1項に違反しない。
問題の所在(論点)
外国人登録令が外国人に登録義務を課し、違反を処罰することが、憲法22条1項の保障する居住・移転の自由を侵害し違憲となるか。
規範
公共の福祉に基づく合理的な制限として、外国人の居住地登録義務及びこれに違反した場合の刑罰規定は、居住・移転の自由を保障する憲法22条1項に抵触しない。
重要事実
被告人は朝鮮籍の外国人であり、外国人登録令に基づき居住地の市町村長に対して所要事項の登録を行う義務を負っていたが、これに違反して登録申請を行わず、または外国人登録証明書の偽造・行使を行ったとして起訴された。被告人側は、当該登録義務の強制と処罰が憲法22条1項(居住・移転の自由)に違反すると主張した。
あてはめ
最高裁大法廷判決(昭和28年5月6日)の趣旨に鑑みれば、外国人の管理及び公正な行政運営のために、居住地の登録を命じ、その違反を処罰することは、憲法の許容する合理的な制限の範囲内であると解される。本件においても、被告人の登録申請不作為や偽造等の行為は、かかる合憲的な法令に違反するものであり、違法性が阻却されるような特段の事情(緊急避難等)も認められない。
結論
外国人登録令の規定は合憲であり、被告人の行為は処罰の対象となる。したがって、上告は棄却される。
実務上の射程
外国人の権利制限と「公共の福祉」の関係を示す重要判例の一つ。答案上は、外国人に対する居住・移動の制約がどの程度まで許容されるかを論じる際、憲法22条1項の制約の合理性を正当化する判例として引用する。
事件番号: 昭和25(あ)586 / 裁判年月日: 昭和28年5月6日 / 結論: 棄却
一 住民を保護し取締る目的から新たに一定の場所に住居を定めたものに対し、その旨を届出若しくは、登録をなすべきことを命じ、これに違反するときは制裁を科する旨の規定を設けたからといつて、それは、居所若しくは住所を定めること自体を制限するものでもなく、又居所若しくは住所の移転自体を制限するものでもないから、かかる規定は、憲法…
事件番号: 昭和42(あ)94 / 裁判年月日: 昭和42年6月9日 / 結論: 棄却
居住地変更の登録を怠つた者を処罰する外国人登録法第八条第一項、第一八条第一項第一号の規定が憲法第二二条第一項に違反するものでないことは、当裁判所大法廷判決(昭和二五年(あ)第五八六号同二八年五月六日宣告、刑集七巻五号九三二頁)の趣旨に徴し明らかである。
事件番号: 昭和27(あ)5164 / 裁判年月日: 昭和29年4月16日 / 結論: 棄却
外国人の登録証明書不携帯の罪を処罰する外国人登録令第一三条第五号の規定は、憲法第二二条第一項に違反しない。