居住地変更の登録を怠つた者を処罰する外国人登録法第八条第一項、第一八条第一項第一号の規定が憲法第二二条第一項に違反するものでないことは、当裁判所大法廷判決(昭和二五年(あ)第五八六号同二八年五月六日宣告、刑集七巻五号九三二頁)の趣旨に徴し明らかである。
外国人登録法第八条第一項第一八条第一項第一号の合憲性
憲法22条1項,外国人登録法8条1項,外国人登録法18条1項1号
判旨
外国人登録法上の居住地変更登録義務を怠った者を処罰する規定は、居住・移転の自由を保障する憲法22条1項に違反しない。
問題の所在(論点)
外国人登録法に基づき、居住地変更の登録を怠った者を処罰する規定(旧法8条1項、18条1項1号)が、憲法22条1項の居住・移転の自由を侵害し違憲となるか。
規範
憲法22条1項が保障する居住・移転の自由も、公共の福祉による制限を受けるものであり、公正な行政上の目的のために課される必要最小限の法的義務とその不履行に対する制裁は、同条の趣旨に反しない。
重要事実
被告人は、居住地を変更したにもかかわらず、当時の外国人登録法8条1項に基づく変更登録を怠った。この不履行を理由として、同法18条1項1号に基づき刑罰を科されたことに対し、被告人は当該処罰規定が憲法22条に違反すると主張して上告した。
事件番号: 昭和25(あ)586 / 裁判年月日: 昭和28年5月6日 / 結論: 棄却
一 住民を保護し取締る目的から新たに一定の場所に住居を定めたものに対し、その旨を届出若しくは、登録をなすべきことを命じ、これに違反するときは制裁を科する旨の規定を設けたからといつて、それは、居所若しくは住所を定めること自体を制限するものでもなく、又居所若しくは住所の移転自体を制限するものでもないから、かかる規定は、憲法…
あてはめ
判決文によれば、最高裁は昭和28年5月6日大法廷判決の趣旨を引用し、外国人登録制度に伴う届出義務およびその違反に対する罰則は、行政管理上の必要性に基づく合理的制約であると判断した。したがって、居住地の変更に伴う登録義務を課し、これを怠った者を処罰することは、居住・移転の自由に対する不当な制限とはいえず、憲法の許容する範囲内にある。
結論
居住地変更の登録を怠った者を処罰する外国人登録法の規定は、憲法22条1項に違反せず、合憲である。
実務上の射程
外国人の管理という行政目的の達成のために課される登録義務と罰則について、公共の福祉による制約を認めるものである。憲法22条の制約論において、行政目的による権利制限の合憲性を基礎付ける際の基本的先例として機能する。
事件番号: 昭和28(あ)4056 / 裁判年月日: 昭和28年12月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】外国人に対し居住地の市町村長への登録を義務付け、違反を処罰する外国人登録令の規定は、憲法22条1項に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は朝鮮籍の外国人であり、外国人登録令に基づき居住地の市町村長に対して所要事項の登録を行う義務を負っていたが、これに違反して登録申請を行わず、または外国人登録証明…
事件番号: 昭和32(あ)258 / 裁判年月日: 昭和32年6月4日 / 結論: 棄却
外国人の登録証明書携帯義務を規定した外国人登録法一三条一項の規定が憲法一四条に違反するものでないことは、昭和二六年(あ)第三九一一号同三〇年一二月一四日大法廷判決(刑集九巻一三号二七五六頁参照)の趣旨に徴し明らかである。
事件番号: 昭和27(あ)5164 / 裁判年月日: 昭和29年4月16日 / 結論: 棄却
外国人の登録証明書不携帯の罪を処罰する外国人登録令第一三条第五号の規定は、憲法第二二条第一項に違反しない。