外国人の登録証明書不携帯の罪を処罰する外国人登録令第一三条第五号の規定は、憲法第二二条第一項に違反しない。
外国人の登録証明書携帯義務と居住移転の自由
外国人登録令10条,外国人登録令11条,外国人登録令13条5号,憲法22条1項
判旨
外国人の登録証明書不携帯の罪を処罰する規定は、居住・移転の自由を保障する憲法22条1項に違反しない。
問題の所在(論点)
外国人の登録証明書不携帯を処罰する外国人登録令(当時)の規定が、居住・移転の自由を保障する憲法22条1項に違反し、違憲ではないか。
規範
憲法22条1項は居住・移転の自由を保障するが、外国人の入国・在留に関しては、国の公共の福祉に基づく合理的な制限が認められる。行政上の管理目的のために課される義務及びその不履行に対する刑罰規定は、その目的が正当であり、手段が合理的である限り合憲である。
重要事実
被告人は外国人登録証明書を携帯していなかった。これにより、外国人登録令10条(現行法上の携帯義務に相当)及び13条5号(罰則)に基づき、登録証明書不携帯の罪に問われた。被告人側は、当該規定が憲法22条1項の保障する居住・移転の自由を侵害するものであると主張して争った。
事件番号: 昭和28(あ)4056 / 裁判年月日: 昭和28年12月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】外国人に対し居住地の市町村長への登録を義務付け、違反を処罰する外国人登録令の規定は、憲法22条1項に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は朝鮮籍の外国人であり、外国人登録令に基づき居住地の市町村長に対して所要事項の登録を行う義務を負っていたが、これに違反して登録申請を行わず、または外国人登録証明…
あてはめ
判決文によれば、昭和28年5月6日大法廷判決の趣旨を引用し、外国人登録制度に伴う義務およびその罰則規定は、公正な出入国管理や在留管理という行政目的のために必要とされるものである。登録証明書の携帯義務および不携帯に対する刑罰は、居住・移転そのものを禁止するものではなく、外国人の管理を適正に行うための合理的な制約といえる。したがって、憲法22条1項の許容する公共の福祉に基づく制限の範囲内にあると解される。
結論
外国人登録令10条、13条5号の規定は、憲法22条1項に違反しない。
実務上の射程
外国人の人権と在留管理の合理性を巡る基本判例である。外国人の居住・移転の自由も保障の対象となり得るが、在留の性質上、日本人より広範な行政的制約(携帯義務等)が課されることを肯定している。答案上は、外国人の人権の制約が問題となる場面で、目的の正当性と手段の合理性を検討する際の指標として用いる。
事件番号: 昭和25(あ)586 / 裁判年月日: 昭和28年5月6日 / 結論: 棄却
一 住民を保護し取締る目的から新たに一定の場所に住居を定めたものに対し、その旨を届出若しくは、登録をなすべきことを命じ、これに違反するときは制裁を科する旨の規定を設けたからといつて、それは、居所若しくは住所を定めること自体を制限するものでもなく、又居所若しくは住所の移転自体を制限するものでもないから、かかる規定は、憲法…
事件番号: 昭和27(あ)1000 / 裁判年月日: 昭和28年8月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の自白のみに基づいて犯罪事実を認定することは憲法38条3項及び刑訴法319条1項に抵触するが、自白以外の補強証拠が存在する場合には、唯一の証拠による認定には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が起訴された犯罪事実について、第一審判決が被告人の自白を証拠として採用し、有罪判決を下した。これに…