判旨
外国人登録法が憲法14条及び22条に違反しない以上、同法に基づく外国人登録証明書は公文書偽造罪(刑法155条)の客体たる公文書に該当する。
問題の所在(論点)
外国人登録法が憲法14条および22条に違反するか。また、同法に基づく外国人登録証明書が公文書偽造罪(刑法155条)の客体となるか。
規範
特定の行政制度を規律する法律が憲法14条(法の下の平等)及び憲法22条(居住・移転の自由)に違反しない場合、当該制度に基づき作成される文書は公務所又は公務員が職務上作成すべき文書としての性質を失わず、公文書偽造罪の客体となり得る。
重要事実
被告人は、外国人登録証明書を偽造したとして公文書偽造罪に問われた。これに対し被告人側は、同証明書の根拠となる外国人登録制度(旧外国人登録令及び外国人登録法)は、朝鮮人を対象として人種差別を行うものであり、また居住移転の自由を妨げるものであるから憲法14条及び22条に違反し無効であると主張。したがって、かかる違憲な制度に基づく証明書を偽造しても同罪は成立しないと争った。
あてはめ
最高裁の判例によれば、外国人登録令は憲法14条に違反せず、同22条が保障する居住移転の自由を制限するものでもない。外国人登録法も同令と目的趣旨を同じくするものであるから、同様に合憲である。したがって、同法に基づく登録証明書は適法な制度に基づく公文書としての適格性を有しており、これを偽造する行為は公文書偽造罪を構成するといえる。
結論
外国人登録法は合憲であり、同法に基づく証明書を偽造した被告人には公文書偽造罪が成立する。
実務上の射程
行政制度の違憲性を理由に公文書偽造罪の成立を否定しようとする抗弁に対し、前提となる制度の合憲性を確認することで犯罪の成立を認める論理構成を示す。公文書偽造罪の客体論において、根拠法令の違憲性が文書の法的性格に及ぼす影響を検討する際の参考となる。
事件番号: 昭和28(あ)4056 / 裁判年月日: 昭和28年12月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】外国人に対し居住地の市町村長への登録を義務付け、違反を処罰する外国人登録令の規定は、憲法22条1項に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は朝鮮籍の外国人であり、外国人登録令に基づき居住地の市町村長に対して所要事項の登録を行う義務を負っていたが、これに違反して登録申請を行わず、または外国人登録証明…
事件番号: 昭和33(あ)2533 / 裁判年月日: 昭和34年7月2日 / 結論: 棄却
外国人登録法第一八条第一項第二号にいわゆる第三条第一項の規定による申請に関し虚偽の申請をした者には、登録義務者たる外国人のため虚偽の申請行為をした者およびこれに共謀した者(外国人たると否とを問わず)を含むと解すべきである。
事件番号: 昭和29(あ)1093 / 裁判年月日: 昭和31年3月6日 / 結論: 棄却
外国人登録証明書に貼付してある写真を恣に剥ぎとり、他人の写真を貼り代えた場合には、公文書偽造罪が成立する。