判旨
自首減軽を適用するか否かは裁判所の専権に属し、自首の事実があっても減軽を不適当と認める場合には、判決でその事実を判示する必要はない。
問題の所在(論点)
自首の事実が存在する場合に、裁判所は必ず自首減軽を適用しなければならないか。また、自首減軽を適用しない場合に、判決書で自首の事実を判示する必要があるか。
規範
刑法42条1項に基づく自首減軽の適用は、裁判所の合理的な裁量(専権)に委ねられている。したがって、自首の成立要件を満たす事実がある場合であっても、裁判所が諸般の事情に照らして減軽を不適当と判断したときは、自首減軽を適用しないことができる。また、その場合には、判決書において自首の事実をあえて摘示・判示することを要しない。
重要事実
被告人は刑事事件の被告人として起訴され、第一審において実刑判決を受けた。被告人側は、自首の事実があるにもかかわらず自首減軽が適用されていないこと、およびその事実が判決に示されていないことが、憲法25条(生存権)等に違反し、量刑不当であるとして上告した。
あてはめ
自首減軽の規定は「その刑を減軽することができる」とする任意的減軽規定である。裁判所は、被告人の自白や被害届、供述調書等の証拠に基づき事実認定を行う中で、自首の事実が認められたとしても、犯行の態様や情状等に照らし、刑の減軽を認めるのが相当でないと判断することが可能である。本件において、原判決が自首減軽を適用せず実刑を維持したことは、裁判所の裁量権の範囲内にある適法な判断といえる。さらに、減軽を適用しない以上、その前提となる事実に言及しないことも手続上の違法とはならない。
結論
自首減軽を適用するか否かは裁判所の専権であり、適用しない場合には自首の事実を判示する必要もない。したがって、被告人の主張は上告理由にあたらない。
実務上の射程
任意的減軽事由全般に関する裁判所の裁量を認める基本判例である。答案上は、被告人側が自首を主張しているにもかかわらず判決で無視されている場合に、裁量権の逸脱がない限り適法であることを根拠づける際に活用できる。
事件番号: 昭和26(れ)28 / 裁判年月日: 昭和26年5月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自首が成立する場合であっても、刑法42条1項に基づく刑の減軽を行うか否かは、裁判所の裁量に委ねられる。したがって、自首による減軽をしなかったとしても直ちに違法とはならない。 第1 事案の概要:被告人は、犯罪事実を自発的に申告した(自首の成立を前提とした主張が行われた)が、原判決において自首減軽がな…
事件番号: 昭和41(あ)2421 / 裁判年月日: 昭和42年2月20日 / 結論: 棄却
A窃盗事実について逮捕勾留中の被疑者が、BないしEの窃盗の各事実について、犯人の何人たるかは勿論、犯罪事実さえ全く官に発覚していない時期に、自発的に供述した時は自首が成立する。