判旨
勾留に関する不服は刑訴法が定める特有の手続によるべきであり、勾留更新決定に違法があったとしても、判決に影響を及ぼさないことが明らかな場合などは適法な上告理由とはならない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟において、勾留更新決定の手続的違法が、判決に対する独立した上告理由(刑訴法405条等)となり得るか。
規範
勾留に関する不服申し立ては、刑訴法419条や420条等の規定に基づき、当該決定に対して直接なされるべき独立した手続によるべきである。したがって、勾留更新決定に違法があったとしても、それが判決に影響を及ぼさないことが明らかな場合、または単にその違法のみを主張する場合は、刑訴法405条の上告理由には当たらない。
重要事実
被告人が勾留更新決定の違法を理由として上告を申し立てた事案である。被告人側は、原審における勾留更新決定に違憲・違法の瑕疵があることを主張し、判決の破棄を求めた。
あてはめ
本件において弁護人が主張する原審の勾留更新決定の違法は、判決そのものの当否を左右する性質のものではない。勾留は身体拘束に関する処分であり、それ自体に対する不服申立手続が別途用意されている。被告人の主張する違法は、本件の判決結果に影響を及ぼすことが明らかであるとは認められず、また単に手続の違法を指摘するに留まるものであるため、判例の趣旨に照らし適法な上告理由とは解されない。
結論
勾留更新決定の違法は、原則として判決に対する上告理由とはならず、上告は棄却される。
実務上の射程
捜査・公判段階の身体拘束の違法が、直ちに実体判決の違法を導くわけではないことを示す射程を持つ。答案上は、手続的違法が判決に及ぼす影響を論じる際の「判決に影響を及ぼすべき法令の違反」の判断において、身体拘束等の付随的処分の位置づけを論理付ける際に活用できる。
事件番号: 昭和28(あ)5511 / 裁判年月日: 昭和30年11月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法定刑の範囲内で被告人に実刑を科し、執行猶予を付さなかったとしても、直ちに憲法13条に違反するものではない。 第1 事案の概要:被告人に対し、下級審が法定刑の範囲内で実刑判決を言い渡し、執行猶予を付さなかった。これに対し弁護人は、実刑を科し執行猶予を付さないことは憲法13条(個人の尊厳・幸福追求権…
事件番号: 昭和26(れ)1670 / 裁判年月日: 昭和26年12月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判が迅速を欠き憲法37条1項に違反したとしても、その理由のみによる破棄差戻しは裁判の進行を一層阻害し憲法の保障に矛盾するため、判決に影響を及ぼす事由には当たらない。また、公判廷における被告人の自白は、憲法38条3項にいう補強証拠を必要とする自白には含まれない。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件…
事件番号: 昭和25(あ)2816 / 裁判年月日: 昭和26年7月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】量刑不当の主張は刑訴法405条所定の上告理由に当たらず、また記録を精査しても同法411条を適用して原判決を破棄すべきものとは認められない。 第1 事案の概要:本件において被告人側(弁護人)は、原審が宣告した刑について量刑不当を主張し、最高裁判所に上告を申し立てた。 第2 問題の所在(論点):単なる…