一 事実審裁判所は適当と認める方法で供述調書の任意性を調査すれば足りるのであつて、本件についてもその調査に違法は認められないのであるから所論違憲の主張はその前提を欠くことにより理由がない。 二 犯情の類似した被告人間の処罰の差異が憲法一四情に違反しないことは、当裁判所大法廷の判例(昭和二三年(れ)四三五号同年一〇月六日大法廷判決)とするところであつて、この趣旨は他の多数の違反者が検挙られず、或は起訴されなかつた場合にも推し及ぼさざるべきものである(昭和二六年(れ)五四四号同年九月一四日第二小法廷判決参照)。従つて論旨のように、たとえ他の違反者が検挙処罰されなかつたとしても原判決を目して憲法一四条に違反するものと論ずることはできない。
一 供述調書の任意性とその調査の方法 二 犯罪の類似した犯人間の処罰の差異と憲法第一四条 三 多数の同種の違反者が起訴されず被告人らのみ起訴処罰された場合と憲法第一四条
刑訴法319条,刑訴法325条,憲法14条
判旨
他の多数の違反者が検挙・起訴されない中で特定の者のみが処罰されたとしても、直ちに憲法14条の法の下の平等に反するものではない。
問題の所在(論点)
多数の違反者が存在する中で、一部の者のみが検挙・起訴され処罰されることが、憲法14条の定める法の下の平等に反するか。
規範
犯情が類似した被告人間の処罰に差異が生じることは、憲法14条に違反しない。この趣旨は、他の多数の違反者が検挙されず、あるいは起訴されなかったために、結果として特定の被告人のみが処罰されることになった場合にも適用される。
重要事実
被告人Aほか8名は、刑事事件において有罪判決を受けたが、これに対し「他の多数の違反者が検挙・起訴されていないにもかかわらず、自分たちのみが処罰されるのは、不当に長い勾留による自白の強制、および法の下の平等に反する」と主張して上告した。特に憲法14条違反の点については、同種の違反行為者が存在する中で一部の者のみを処罰することの是非が争点となった。
事件番号: 昭和25(れ)1030 / 裁判年月日: 昭和25年11月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共犯者の一部のみが起訴され、あるいは共同被告人間で科刑に差異が生じたとしても、それは裁判所の裁量の範囲内であり、憲法14条の法の下の平等や憲法32条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は物価統制令違反の罪に問われたが、同様に利得を得たはずの共犯者が起訴されず、被告人のみが起訴・処罰されることに…
あてはめ
最高裁は、先行する大法廷判決の趣旨を引用し、共同被告人間や類似の犯罪態様における処罰の不均衡は憲法違反を構成しないとした。本件において、たとえ所論が指摘するように他の違反者が検挙・処罰されなかった事実があったとしても、それは検察官の起訴裁量等の範囲内であり、適法に構成された公訴提起に基づく判決が直ちに平等の原則を害するものとは評価できない。
結論
他の違反者が検挙処罰されない中で、特定の被告人のみが処罰を受けたとしても、憲法14条に違反しない。
実務上の射程
検察官の起訴裁量(刑事訴訟法248条)の限界と平等原則の関係を示す判例である。行政法における「違法における平等」の否定と同様、自己が適法に処罰される場合に、他者が処罰されていないことをもって免責を主張することはできないことを明確にしている。
事件番号: 昭和26(れ)2054 / 裁判年月日: 昭和29年2月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条1項が保障する「公平な裁判所」とは、偏頗の恐れのない組織により構成される裁判所を指すのであって、具体的な裁判の内容や手続が当事者から見て不公平に思われる裁判を指すものではない。 第1 事案の概要:被告人AおよびBは、刑事裁判の第1審および控訴審において有罪判決を受けた。これに対し、被告人…