公務員の収賄を処罰することを定めた刑法第一九七条は、憲法第一四条に違反しない。
刑法第一九七条は憲法第一四条に違反するか。
刑法197条,憲法14条
判旨
刑法197条が公務員をその他の者と区別して収賄罪として処罰することは、公務員の職務の公共性と公正保持の必要性に照らし、合理的な根拠がある。したがって、同条は憲法14条の法の下の平等に違反しない。
問題の所在(論点)
刑法197条(収賄罪)が、公務員を非公務員と区別して重い刑事責任を課していることが、憲法14条1項の法の下の平等に違反しないか。
規範
法の下の平等を定める憲法14条は、事柄の性質に応じた合理的な根拠に基づく区別を許容する。公務員という特定の地位に伴う職務の公共性や、その執行に対する国民の信頼保護という目的のために、非公務員と異なる取扱いをすることは、その目的に照らして合理的な範囲内であれば合憲である。
重要事実
被告人が刑法197条(収賄罪)に問われた事案において、弁護人は同条が公務員をその他の者と区別して処罰の対象としている点に着目し、かかる区別は公務員に対して不当に不利益な取扱いを強いるものであり、憲法14条に違反すると主張して上告した。
あてはめ
憲法15条2項は、公務員を「全体の奉仕者」と定めており、公務の執行は一部ではなく全体の利益のためになされるべきものである。公務に賄賂が伴えば、職務の威信と公正が害され、国民の信頼が失われることは明白である。刑法197条は、このような公務員の職務の性質に鑑み、その公正を維持するために収賄行為を処罰するものである。この区別は、公務員の職務の公共性を踏まえた合理的な根拠に基づくものであり、不当な不利益を課すものとはいえない。
結論
刑法197条は、合理的な根拠に基づく区別であるため、憲法14条に違反しない。
実務上の射程
憲法上の平等原則における「合理的区別論」の初期の適用例である。公務員という身分に基づく刑事罰の加重や特別の義務付けが、職務の公共性(全体の奉仕者性)を理由に正当化される際の論拠として活用できる。
事件番号: 昭和25(あ)1798 / 裁判年月日: 昭和27年8月23日 / 結論: 棄却
原判決が被告人等の量刑を考察するにあたつて、「本件犯行の動機、態様その他諸般の情状殊に被告人等が当時犯罪検挙の職責を有する司法巡査でありながらその着用した制服を利用して犯したものである点を顧慮」したというのは、司法巡査という職業に伴う社会的道義的責任の重大さを情状として参酌したという趣旨に解すべきであるから、これを以て…