判旨
共犯者の一部のみが起訴され、あるいは共同被告人間で科刑に差異が生じたとしても、それは裁判所の裁量の範囲内であり、憲法14条の法の下の平等や憲法32条に違反しない。
問題の所在(論点)
共犯者の中で特定の者のみが起訴され、あるいは共同被告人間で科刑の軽重が生じることは、憲法14条(法の下の平等)および憲法32条(裁判を受ける権利)に反するか。
規範
憲法14条1項の法の下の平等は、絶対的な平等を求めるものではなく、同一の犯罪事実に関与した共犯者間であっても、各人の諸事情に応じた科刑の差異や、検察官の裁量による起訴・不起訴の区別を許容する。また、憲法32条は裁判所によらない裁判を禁止する趣旨であり、特定の共犯者が起訴されないことによって他者の裁判を受ける権利が侵害されるものではない。
重要事実
被告人は物価統制令違反の罪に問われたが、同様に利得を得たはずの共犯者が起訴されず、被告人のみが起訴・処罰されることになった。また、共同被告人が存在する場合において、一部の者にのみ刑の酌量減軽が適用され、被告人には適用されないという科刑上の差異が生じた。被告人はこれらを不当として、憲法14条および32条違反を理由に上告した。
あてはめ
まず、憲法32条について、同条は裁判所以外の機関による裁判を禁止する趣旨に留まるため、共犯者の不起訴はこれに抵触しない。次に、憲法14条について、共同被告人間の科刑の差は、裁判所の裁量権の行使の結果であり、個別の情状に基づく合理的な差異である。したがって、共犯者の一方が起訴されなかったり、刑の減軽において差が生じたりしたとしても、直ちに平等原則に反する違憲の事態とはいえない。
結論
本件のような起訴の選択や科刑の差異は裁判所・検察官の裁量に属し、憲法14条および32条に違反しない。
実務上の射程
刑事訴訟における「起訴便宜主義」および「量刑上の裁量」の憲法的妥当性を肯定する射程を持つ。答案上は、共犯者間の不均衡を理由とする違憲主張を排斥する際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和25(あ)1216 / 裁判年月日: 昭和26年6月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共犯者等の一方が不起訴処分となり、他方が起訴されて処罰されるという処遇の差異が生じても、犯人の処罰は各人ごとに妥当な処置が講じられるべきものである以上、直ちに憲法14条の法の下の平等に反するものではない。 第1 事案の概要:被告人は水飴の価格統制等に関連する罪に問われたが、同一の事件に関与したと考…
事件番号: 昭和27(れ)24 / 裁判年月日: 昭和28年1月23日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】供述が強制によるものであると認められない限り、当該供述を事実認定の証拠に採用することは適法であり、憲法31条等の適正手続に反しない。また、贈収賄罪の成立において、大赦の対象となった他の犯罪事実と併合罪の関係にあっても、当該贈収賄の罪責は免れない。 第1 事案の概要:被告人Aは収賄、被告人Bは贈賄の…
事件番号: 昭和27(れ)197 / 裁判年月日: 昭和28年9月22日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】共同被告人の公判廷における供述や、被告人自身の公判調書記載の供述を総合することにより、贈賄罪の事実認定を行うことは適法である。また、併合罪の関係にある一部の罪について大赦があった場合には、当該事実について免訴を言い渡した上で、残余の罪について刑を量定すべきである。 第1 事案の概要:被告人は贈賄罪…