判旨
恩赦法3条1号による刑の言渡しの効力が失効した場合であっても、判決により確定した事実関係自体が消滅するわけではなく、また換刑処分において第一審の処分より不利益に変更されたとはいえない限り、適法である。
問題の所在(論点)
恩赦法3条1号による「刑の言渡しの効力の失効」の意義、および恩赦後の換刑処分が不利益変更禁止の原則(刑訴法402条参照)に抵触するか否か。
規範
恩赦法3条1号に基づき刑の言渡しの効力が失効した場合、刑の執行が免除され、将来に向かって刑の言渡しに基づく法的制約が消滅するにとどまり、有罪判決の存在やその前提となった事実関係までが遡及的に消滅するものではない。また、上訴審における換刑処分の判断において、第一審判決の処分内容と比較して被告人に不利益な変更がなされていないのであれば、不利益変更禁止の原則に抵触せず適法である。
重要事実
被告人が刑事事件により有罪判決を受けた後、上告審の段階において恩赦法3条1号の規定による刑の言渡しの失効が生じた。弁護側は、この失効の意義に関する原判決の説示に訴訟法違反があること、および原判決が行った換刑処分が第一審判決と比較して不利益に変更されたものであると主張して上告した。
あてはめ
原判決における恩赦法3条1号の解釈(刑の言渡しの失効の意義)は正当である。また、原審が行った換刑処分を第一審判決の処分内容と対照すると、量刑や執行の条件において被告人の地位を悪化させたとは認められず、第一審よりも不利益に変更されたとはいえない。
結論
本件上告には刑訴法405条所定の上告理由は認められず、また同法411条を適用すべき事由もないため、上告を棄却する。
実務上の射程
恩赦による刑の失効が刑事訴訟手続に与える影響を限定的に解釈する際や、換刑処分が不利益変更にあたるか否かの比較判断を行う際の基準として活用できる。特に実務上、恩赦があっても既判力や事実認定の効力が失われない点を確認する際に重要である。
事件番号: 昭和25(あ)1541 / 裁判年月日: 昭和28年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】食糧管理法に基づく罰則規定は、その年の供米完遂後であっても失効せず、当該年度の違反行為に対して引き続き適用される。また、多数の犯罪事実のうち一部に手続上の瑕疵があっても、判決全体を破棄しなければ著しく正義に反すると認められない限り、上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人は、食糧管理法違…