判旨
食糧管理法の規定は憲法に違反せず有効であり、大赦令の対象となった公訴事実については、訴訟条件が欠けるものとして免訴を言い渡すべきである。
問題の所在(論点)
食糧管理法の規定が憲法に違反し無効といえるか、および公訴提起後に大赦があった場合の裁判所の措置(免訴の要否)が問題となる。
規範
特定の刑事罰を定めた法律が憲法に違反するか否かは、公共の福祉の観点から合憲性が判断されるべきであり、判例上、食糧管理法の規定は合憲である。また、公訴事実について政令による大赦があった場合には、刑事訴訟法に基づき免訴の判決を言い渡さなければならない。
重要事実
被告人は食糧管理法等に違反し、輸入された砂糖を売り渡すなどの複数の行為に及んだ。第一審および原審では有罪とされたが、被告人は同法の違憲性や量刑不当を主張して上告。上告審の継続中に、公訴事実の一つである「輸入された砂糖を売り渡した事実」について、昭和二十七年政令第百十七号大赦令に基づく大赦が実施された。
あてはめ
食糧管理法の違憲性の主張については、先行する最高裁大法廷判決の趣旨に照らし、憲法違反にはあたらない。しかし、砂糖の売却事実については、訴訟継続中に大赦令一条八十六号による大赦が適用されたことが認められる。この場合、実体的な審理を継続することはできず、刑事訴訟法337条3号に基づき免訴の言い渡しをすべき事由が生じたといえる。
結論
食糧管理法違反の罪は合憲である。大赦のあった砂糖売却の事実については免訴を言い渡し、大赦の対象外であるその他の余罪についてのみ有罪として刑を確定させるため、原判決を破棄し自判する。
実務上の射程
法令の合憲性判断において先行判決を維持する際の簡潔な論証、および大赦等の免訴事由が発生した場合の刑事訴訟手続(刑訴法337条)の処理の定石を示すものである。答案上は、大赦による免訴が実体判決に優先することを端的に示す際に参照し得る。
事件番号: 昭和26(あ)4729 / 裁判年月日: 昭和27年11月21日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】食糧管理法違反の罪について、判決確定後に公布された大赦令の対象となる罪が含まれる場合、当該事実については免訴の言渡しをすべきである。 第1 事案の概要:被告人は食糧管理法違反の罪(精米や雑穀の無許可輸送等)に問われ、第一審および控訴審において有罪判決を受けていた。しかし、上告審の係属中に、昭和27…