判旨
食糧管理法による食糧の配給・流通制限は、公共の福祉に基づく合理的な制限であり、日本国憲法に違反しない。また、大赦令の施行により免訴事由が生じた場合、裁判所は刑訴法に基づき免訴の言渡しをすべきである。
問題の所在(論点)
1.食糧管理法による経済統制が憲法に違反するか。2.上告審において大赦があった事実をいかに処理すべきか。
規範
食糧管理法による食糧の流通管理・統制の合憲性については、公共の福祉(憲法12条、13条等)の観点から、国民の食糧確保という正当な目的のための必要かつ合理的な制限として認められる(昭和23年9月29日大法廷判決参照)。また、刑事訴訟において大赦があったときは、刑訴法337条3号に基づき免訴の言渡しをしなければならない。
重要事実
被告人は、食糧管理法9条等に違反して、主要食糧(精米)の輸送委託等を行ったとして起訴された。第一審および控訴審で有罪判決を受けたが、被告人は食糧管理法が憲法に違反すると主張して上告。また、上告審の継続中に、昭和27年政令第117号大赦令が施行され、本件公訴事実の一部がその対象となった。
あてはめ
1.食糧管理法の合憲性については、最高裁判所の確立した判例により合憲とされており、違憲の主張は理由がない。2.本件公訴事実のうち、主要食糧の輸送委託の事実については、昭和27年政令第117号大赦令の対象に含まれている。したがって、当該事実については、刑訴法411条5号(刑の廃止、大赦等による原判決破棄)および337条3号(免訴の言渡し)を適用すべきである。
結論
食糧管理法は合憲である。もっとも、大赦があった事実については原判決および第一審判決を破棄し、免訴とする。その他の事実については懲役6月および没収に処する。
実務上の射程
経済的自由に対する公共の福祉による制限の合憲性を示すとともに、訴訟条件(免訴事由)が事後的に発生した場合の職権調査および判決のあり方を示す実務上の先例となる。
事件番号: 昭和26(あ)3902 / 裁判年月日: 昭和29年2月11日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】食糧管理法による食糧の流通規制は、生存権を規定した憲法25条に違反しない。また、併合罪の関係にある公訴事実のうち、一部の事実に大赦があった場合には、その部分について免訴を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、食糧管理法に基づき制限されていた粳(うるち)玄米の携帯輸送、および大豆の輸送を…