判旨
食糧管理法に基づく罰則規定は、その年の供米完遂後であっても失効せず、当該年度の違反行為に対して引き続き適用される。また、多数の犯罪事実のうち一部に手続上の瑕疵があっても、判決全体を破棄しなければ著しく正義に反すると認められない限り、上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
食糧管理法に基づく罰則規定が、当該年度の供米完遂後においてもなお適用されるか。また、多数の犯罪事実のうち一部に瑕疵がある場合に、原判決を破棄すべき「著しく正義に反する」事由に該当するか。
規範
食糧管理法9条に基づく命令および同法31条、34条等の罰則規定は、当該年度の供米完遂という事実上の目的達成によって失効するものではなく、完遂後もその適用を妨げられない。また、一部の訴訟手続に瑕疵がある場合でも、刑訴法411条に基づき、原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認められる事情が必要である。
重要事実
被告人は、食糧管理法違反等の罪に問われた。弁護人は、その年の供米が完遂した後は、食糧管理法に基づく命令や罰則の適用はなくなるべきであると主張した。また、第一審判決における多数の買受け事実のうち、一部の事実認定等に訴訟法上の違法があると主張して上告した。
あてはめ
食糧管理法の罰則が供米完遂後に適用されないとする主張は独自の見解に過ぎず、法令は有効に存続しているといえる。また、訴訟法違反の主張についても、本件では多数の買受け事実のうち一部に瑕疵があるに過ぎない。そのため、原判決全体を破棄しなければ著しく正義に反するとまでは認められないと解される。
結論
本件上告は棄却される。食糧管理法の罰則は供米完遂後も適用され、また一部の瑕疵は判決の破棄を要するほどの正義に反する事由には当たらない。
実務上の射程
限時法的な性質を持つ規制法であっても、行政目的の達成分のみをもって当然に罰則が失効しないことを示す。また、多数の余罪や併合罪がある場合、一部の事実認定の瑕疵が直ちに全判決の破棄事由(刑訴法411条)にはならないという実務上の判断基準として活用できる。
事件番号: 昭和29(あ)2642 / 裁判年月日: 昭和29年12月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】食糧管理法の合憲性については最高裁判所の累次の判例により肯定されており、公共の福祉に基づく経済的自由の制限として許容される。また、量刑不当の主張は適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が食糧管理法違反で起訴された事案において、弁護人は同法の違憲性を主張するとともに、量刑が不当であ…