判旨
犯罪の成否および適用法令の判断においては、行為当時の法令を基準とすべきであり、事後の法令改正によって規定が変更されたとしても、当該行為時に効力を有していた法令が適用されるべきである。
問題の所在(論点)
犯罪行為の後に法令の改正があった場合、裁判所は行為時の法令と判決時の法令のいずれを適用して判断すべきか。特に、第一審が適用した旧規則が、行為当時の実効的な法令として正当であるかが争点となった。
規範
刑罰法令の適用に関しては、原則として行為時における法令の定めに依拠すべきである。法令が改正された場合であっても、特段の経過措置がない限り、行為後に施行された改正後の法令を遡及させて、行為当時の適法性を判断したり、適用すべき条文を変更したりすることは認められない。
重要事実
被告人は食糧管理法違反の罪に問われた。第一審判決は、本件犯行当時に施行されていた昭和26年農林省令第44号による改正前の食糧管理法施行規則41条を適用して有罪とした。これに対し、弁護人は昭和27年に改正された後の同規則を前提として、第一審判決には法令違反がある旨を主張して上告した。
あてはめ
本件において、第一審が適用した食糧管理法施行規則41条は、本件犯行当時に現に施行され効力を有していたものである。弁護人が指摘する昭和27年の改正省令は、本件犯行より後に成立したものであり、遡及適用されるべき性質のものではない。したがって、行為時に施行されていた改正前の規則を適用した第一審の判断に、適用法条の誤りという法令違反は認められない。
結論
本件犯行当時に適用のある法令を適用した第一審判決に誤りはなく、上告を棄却する。
実務上の射程
罪刑法定主義の観点から、行為時法の原則を再確認するものである。法令改正が頻繁な行政刑法分野において、どの時点の規定を適用すべきか迷う事案での基礎的な指針となる。答案上は、法令の改廃があった場合の経過規定の解釈や、3条(刑の変更)の適用の有無を検討する際の前段階の理屈として活用できる。
事件番号: 昭和27(れ)152 / 裁判年月日: 昭和27年10月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】犯罪後の法律の変更により刑が軽くなった場合、刑法6条および同法10条の規定に従い、最も軽い法律(行為時法)を適用して処断すべきである。 第1 事案の概要:被告人は食糧管理法違反の罪に問われたが、犯罪後の法律変更(罰金等臨時措置法の制定・改正等)が介在した。原判決は、刑法6条および10条を適用し、後…