捜索令状の被疑者名甲が家主の乙と記載されてあつたとしても、それだけの理由で被疑者甲に対する適法な捜索令状でないとはいえない。
捜索令状が適法と認められる一事例
刑訴法219条,刑訴法218条
判旨
捜索令状の被疑者名に誤記や別人の記載があったとしても、直ちに当該令状が無効となるわけではなく、捜索押収手続が憲法35条に違反して違法となるものではない。
問題の所在(論点)
捜索令状の被疑者名に、被疑者本人ではなく家主の名前が記載されていた場合、当該令状は有効か。また、これに基づく捜索押収手続は憲法35条に違反し無効となるか。
規範
憲法35条及び刑訴法の定める令状主義の観点から、捜索令状に被疑者名の誤記(例:被疑者本人ではなく家主の名前が記載されている等)があったとしても、その一事をもって直ちに令状が不存在であると評価されたり、捜索押収手続が無効となったりするものではない。
重要事実
大蔵事務官が捜索押収手続を行い、差押顛末書を作成した事案において、被告人側は「捜索令状および押収令状がなく不法な捜索押収がなされた」と主張して憲法35条違反を訴えた。具体的には、捜索令状の被疑者名欄に、実際の被疑者ではなく家主であるEの名前が記載されていたという事実関係が争点となった。
あてはめ
原審が認定した差押顛末書の内容によれば、押収手続に不法な点は認められない。仮に弁護人が主張するように、捜索令状の被疑者名が被疑者本人ではなく家主であるEと記載されていたとしても、令状が特定する捜索場所や対象が客観的に示されている限り、氏名の記載のみをもって適法な令状を欠くと評価することはできない。したがって、本件捜索押収を無効とすべき重大な違法は認められない。
結論
捜索令状の被疑者名が誤っていたとしても、直ちに捜索押収が無効になるものではなく、憲法35条違反には当たらない。
実務上の射程
令状の必要的記載事項(刑訴法219条1項)に関する軽微な瑕疵が令状の効力に及ぼす影響を判断する際の参考となる。特に「被疑者の氏名」の誤記については、令状の特定機能を著しく損なわない限り、手続を直ちに無効とはしない実務的な寛容さを示している。ただし、現在はより厳格な特定が求められる傾向にあるため、本判決は「氏名誤記のみでは無効とならない」という最小限の枠組みとして引用すべきである。
事件番号: 昭和28(あ)1060 / 裁判年月日: 昭和30年7月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】国税犯則取締法3条1項に基づき、現行犯または準現行犯としてなされる無令状の捜索・押収は、憲法35条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は国税犯則取締法違反に問われたが、その捜査過程において、藤沢税務署の調査官が同法3条1項に基づき、裁判官の令状を得ることなく捜索および押収を実施した。弁護人は、…