原判決言渡当時においては被告人は既に少年ではなかつた場合にはたとえ犯行当時少年であつたとしても、定期刑を言渡すべきもので、不定期刑を言渡すべきものではない(昭和二六年(あ)第一二四一号、同二六年八月一七日言渡第二小法廷判決参照)。
旧刑訴事件の控訴審における判決言渡当時少年でなくなつた者と少年法第五二条の適用の有無
少年法2条,少年法68条1項,少年法52条,旧少年法1条,旧少年法8条
判旨
共謀共同正犯の成立に関し、特定の犯罪を遂行する共謀があり、その共謀に基づき共謀者の一人が実行行為に及んだ場合には、実行行為を分担していない他の共謀者も共同正犯としての責任を負う。また、犯行時に少年であっても、判決言い渡し時に成人している場合には、不定期刑ではなく定期刑を言い渡すべきである。
問題の所在(論点)
1. 実行行為を分担していない共謀者が、共同正犯として刑責を負うか(共謀共同正犯の成否)。 2. 犯行時に少年であった者が判決時までに成人した場合、不定期刑を言い渡すべきか。
規範
特定の犯罪を遂行する旨の共謀が成立しており、その共謀に基づいて共謀者の一人が実行行為をした場合には、実行行為に直接関与していない他の共謀者も、刑法60条の共同正犯としてその責任を負う。また、少年法上の不定期刑(少年法52条)の適用については、犯行時ではなく「判決言渡当時」において少年であることを要する。
重要事実
被告人Cは、他の被告人らと強盗を行うことを共謀した。その後、共謀者の一人が実際の強盗行為を遂行したが、被告人C自身は実行行為を分担しなかった。また、被告人Cは本件犯行当時は少年であったが、原審の判決言渡当時においては、既に成人(少年法上の少年に該当しない年齢)に達していた。弁護人は、実行行為への関与がないこと、および不定期刑を科すべきであることを理由に上告した。
あてはめ
1. 被告人Cについて、原審が挙げた証拠によれば強盗の共謀の事実が認められる。この共謀に基づき、共謀者の一人が強盗の実行行為に及んだ以上、実行行為をしていない被告人Cも共同正犯の責任を免れない。 2. 少年法が定める不定期刑の適用対象は、判決時において少年である者に限られる。被告人Cは原判決言渡当時において既に少年ではなかったため、定期刑を言い渡した原審の判断に違法はない。
結論
1. 実行行為を分担していない共謀者であっても、共謀共同正犯として処断される。 2. 判決時に成人している被告人に対しては、犯行時に少年であっても定期刑を言い渡すべきである。本件上告はいずれも棄却される。
実務上の射程
共謀共同正犯(刑法60条)の成立要件として、実行行為の分担が必須ではないことを明確にした判例である。答案上では、共謀の事実とそれに基づく実行行為が認められれば、分担の有無を問わず共同正犯が成立する旨の根拠として引用する。また、少年法52条の「少年」の判断基準時が判決時である点も、実務上確定した準則となっている。
事件番号: 昭和26(あ)1537 / 裁判年月日: 昭和26年10月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共謀共同正犯の成立において、実行行為に直接関与していない者であっても、共謀の事実が認められ、その共謀に基づき犯罪が実行された場合には、共同正犯としての責任を負う。 第1 事案の概要:被告人は、共謀共同正犯の成立を認めた原判決に対し、事実誤認等を理由に上告した。一審判決および原判決は、検察事務官に対…