判旨
控訴申立期間の経過後に控訴の提起があった場合において、申立人に手落ちがなかったと認められない限り、控訴棄却の決定は正当である。刑事訴訟法に基づく救済措置を求めるには、不備が生じたことについて当事者の責めに帰すべき事由がないことを要する。
問題の所在(論点)
控訴期間の徒過について、申立人に過失(手落ち)がないと認められない場合に、控訴棄却の決定を維持することが適法か。刑事訴訟法上の期間遵守に関する「責めに帰すべからざる事由」の有無が論点となる。
規範
控訴等の申立てにおいて法定の期間を遵守できなかった場合、その不遵守が当事者の責めに帰すべからざる事由(「手落がなかつたと認むべき事由」)に基づくものでない限り、当該申立てを適法なものとして受理することはできない。具体的には、客観的な障害の存在や、当事者が尽くすべき注意義務を尽くしていたか否かによって判断される。
重要事実
申立人は、控訴申立期間を徒過して控訴を提起したが、原審(控訴審)はこれに対し、申立人が主張する諸事情を考慮しても、申立人に「手落ちがなかった」とは認められないとして、控訴棄却の決定を下した。申立人はこの決定を不服として、憲法違反等を理由に最高裁判所に特別抗告を申し立てたものである。
あてはめ
本件において申立人が主張する具体的な事情(詳細は判決文からは不明)を検討しても、控訴期間内に適法な手続きを完了できなかったことについて、申立人に過失がなかったと評価することはできない。すなわち、社会通念上、期間内に手続きを行うことが不可能または著しく困難であったという客観的事由が認められず、申立人の注意義務違反、すなわち「手落ち」があったと判断される。
結論
申立人に手落ちがなかったと認めるべき事由はないため、原決定による控訴棄却は正当であり、本件特別抗告は理由がないとして棄却される。
事件番号: 昭和31(し)38 / 裁判年月日: 昭和31年9月19日 / 結論: 棄却
所論は違憲(三二条の違反)をいうけれども、その本旨は、弁護人の事務員の過失により弁護人が裁判所から控訴趣意書提出最終日の指定通知のあつたことを知らず、控訴趣意書を提出しないで右の提出期限を徒過したため、控訴裁判所が控訴棄却の決定をしたことについて、原決定がこれを相当と認めて右控訴棄却の決定を維持したことが、不当違法であ…
実務上の射程
刑事手続における期間遵守の厳格性を示す。特に、上訴提起期間の徒過による救済(控訴権回復等)が認められるためには、申立人側に一切の不注意がなかったことが必要であり、単なる内部的事情や軽微な錯誤では「手落ちがない」とは認められないことを示唆する実務上重要な基準である。
事件番号: 昭和27(し)74 / 裁判年月日: 昭和27年10月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法433条に基づく特別抗告は、同法405条に規定する憲法違反または判例相反の事由がある場合に限り申し立てることができる。本件の抗告理由はこれらに該当しないことが明らかであるため、適法な理由にならず棄却を免れない。 第1 事案の概要:抗告人Aが、原決定に対して刑事訴訟法433条に基づき特別抗…
事件番号: 昭和27(し)28 / 裁判年月日: 昭和27年8月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上訴権回復の要件である「自己又は代理人が責任を負うことのできない事由」とは、不注意等の過失がないことを指し、弁護人の不注意により控訴期間を徒過した場合はこれに当たらない。 第1 事案の概要:被告人Aに対する窃盗被告事件の第一審判決に対し、被告人本人またはその弁護人は、法定の控訴期間内に控訴の申し立…
事件番号: 昭和28(し)21 / 裁判年月日: 昭和28年7月16日 / 結論: 棄却
原審の判示するところは、単に、被告人から控訴した事件において、一審の弁護人であつた梅山実明、同伊藤静男から控訴趣意書と題する書面が提出されたけれども、右弁護人等の原審における選任届は控訴趣意書提出最終日を経過した後に提出されたため、右控訴趣意書は結局無権限のものによつて提出された無効のものであり且つ後に提出された弁護人…
事件番号: 昭和26(し)57 / 裁判年月日: 昭和26年10月6日 / 結論: 棄却
高等裁判所がした控訴棄却の決定に対し、自己又は代人の責に帰することができない事由により所定の期間内に異議の申立をすることができなかつた場合には、上訴権の回復の規定の準用がある。