判旨
被告人の公判廷における自白については、被害届を補強証拠として用いることで、憲法38条3項の規定に反することなく有罪判決の基礎とすることができる。
問題の所在(論点)
公判廷における自白を唯一の証拠として有罪とすることができるか。また、被害届が自白の補強証拠として認められるか(憲法38条3項)。
規範
憲法38条3項が定める自白の補強証拠の必要性について、公判廷における自白であっても、これを有罪の唯一の証拠とすることはできないが、被害届等の他の証拠によってその事実が裏付けられている場合には、同条項に違反しない。
重要事実
被告人は第一審の公判廷において自白を行ったが、当該自白は勾留後25日目に為されたものであった。第一審判決は、この被告人の公判廷における自白に加えて、各被害者の被害届を補強証拠として採用し、被告人を連れ去り等の罪で有罪とした。これに対し弁護人は、自白の任意性欠如や補強証拠の不十分さを理由に憲法38条2項および3項違反を主張して上告した。
あてはめ
まず、任意性については、公判廷の自白が強制や拷問によるものであることを認める証跡はなく、勾留後25日目という期間も直ちに不当とはいえない。次に、補強証拠の点については、第一審判決が自白以外に各被害届を証拠として挙げており、これらは自白の真実性を担保するに足りる補強証拠であると認められる。したがって、自白のみを証拠としたものとはいえない。
結論
公判廷における自白に加え、被害届という補強証拠が存在する以上、憲法38条3項には違反せず、有罪判決は正当である。
実務上の射程
自白の補強証拠として、被害届などの客観的事実を示す証拠があれば、憲法上の要請は満たされることを示す。実務上、自白の任意性と補強証拠の有無は峻別して論じるべきであり、公判廷自白であっても補強証拠が必要であるという点に注意が必要である。
事件番号: 昭和27(あ)5290 / 裁判年月日: 昭和28年2月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の自白がある場合、盗難届を補強証拠とすることで憲法38条3項の規定に反することなく有罪判決を維持できる。 第1 事案の概要:被告人が窃盗罪で起訴された事案において、第一審判決は被告人の公判廷における自白に加え、被害者から提出された各盗難届を証拠として掲げ、有罪を認定した。これに対し弁護人は、…