判旨
貸金業等の取締に関する法律に基づく届出制は、適正な届出さえ行えば誰でも自由に貸金業を営めるものである。したがって、無届で営業したことによる刑事罰の適用は、憲法上の権利を不当に制限するものではない。
問題の所在(論点)
貸金業等の取締に関する法律に基づく届出制および無届営業に対する罰則の適用が、憲法上の権利(経済的自由等)を制限し、違憲となるか。
規範
届出制を採用する法規制において、所定の届出手続を経ることで自由に当該事業を行うことが可能である場合、届出を怠った者に対して罰則を適用したとしても、それは事業活動を行う自由そのものを不当に制限するものではない。
重要事実
被告人は「貸金業等の取締に関する法律」に基づく届出を行わずに貸金業を営んだ。同法3条は、何人でも届出をすれば自由に貸金業を行うことができると規定していたが、被告人はこの手続を怠り、無届営業として罰則の適用を受けることとなった。被告人は、当該法律や原判決が貸金をする自由を制限するものであり、憲法に違反すると主張して上告した。
あてはめ
本件法律3条の規定によれば、適正に届出さえ行えば何人も自由に貸金業を営むことが保障されている。被告人が処罰の対象となったのは、法律が求める最小限の手続である「届出」を自ら怠った結果にすぎない。このように、届出という形式的要件を充たすことで活動の自由が確保されている以上、無届による処罰は、憲法が保障する自由に対する不当な制限には当たらないと解される。
結論
本件法律および原判決は憲法に違反しない。したがって、被告人の上告を棄却する。
実務上の射程
許可制(強度の公的規制)とは異なり、届出制(事後的把握や形式的審査にとどまる規制)が営業の自由を侵害するかという文脈で引用可能。行政上の義務違反に対する刑事罰の合憲性を肯定する基礎的論理として機能する。
事件番号: 昭和26(あ)2347 / 裁判年月日: 昭和30年3月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律における無届貸金業者に対する罰則規定は、経済活動の自由の合理的制限として憲法に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が、貸金業等の取締に関する法律に基づく届出を行わずに貸金業を営んだとして、同法の罰則規定の適用を受けた事案。被告人は、当該罰則規定が憲法の保障する経済的自由…
事件番号: 昭和27(あ)348 / 裁判年月日: 昭和30年3月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律にいう「貸金業」とは、反復継続の意思をもって金銭の貸付けまたは金銭の貸借の媒介をする行為を指し、営利の目的(報酬・利益を得る意思や事実)は要件ではない。また、無届貸金業者に対する罰則規定は憲法22条の職業の自由を侵害せず、合憲である。 第1 事案の概要:被告人が、貸金業等…
事件番号: 昭和27(あ)1063 / 裁判年月日: 昭和28年10月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律3条に基づく届出義務に違反し、猶予期間経過後も無届で貸金業を営む行為は、同法5条(現行の貸金業法違反に相当)の処罰対象となる。 第1 事案の概要:被告人は、貸金業等の取締に関する法律(旧法)3条により、大蔵大臣への届出が義務付けられていた。同法附則2項には届出に関する猶予…
事件番号: 昭和27(あ)6352 / 裁判年月日: 昭和30年3月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律による規制は、憲法22条1項の保障する職業選択の自由を不当に圧迫するものではなく、公共の福祉による正当な制限として合憲である。 第1 事案の概要:上告人は、貸金業等の取締に関する法律(旧法)の規定が、憲法22条が保障する職業選択の自由を不当に圧迫し違憲であると主張して上告…
事件番号: 昭和31(あ)914 / 裁判年月日: 昭和36年12月20日 / 結論: その他
一 原審が証拠により適法に認定した事実によれば、被告人は、利殖の目的をもつて原判示第二の(一)の日時場所において貸主としてA名義を使用し、Bに対し月七分ないし八分の利率をもつて金三〇万を貸し付けたほか、同様の方法で三回にわたり、同判示得第二の(二)ないし(四)の金員を同記載の利率をもつて貸し付けたというのであり、客観的…