判旨
貸金業等の取締に関する法律における無届貸金業者に対する罰則規定は、経済活動の自由の合理的制限として憲法に違反しない。
問題の所在(論点)
貸金業等の取締に関する法律中の無届貸金業者に対する罰則規定が、経済活動の自由を保障する憲法の趣旨に抵触し、違憲とならないか。
規範
経済的自由権(憲法22条1項)に対する制限は、公共の福祉に基づき合理的かつ必要最小限度である限り認められる。貸金業の無届営業を罰則により規制する立法は、金融秩序の維持と利用者の保護を目的とする正当な制限である。
重要事実
被告人が、貸金業等の取締に関する法律に基づく届出を行わずに貸金業を営んだとして、同法の罰則規定の適用を受けた事案。被告人は、当該罰則規定が憲法の保障する経済的自由に反し違憲であると主張した。
あてはめ
最高裁判所の大法廷判決(昭和29年11月24日)の趣旨を引用し、無届の貸金業者に対する罰則規定は憲法に違反しないと判断される。貸金業という社会的影響力の大きい経済活動を規律し、無届営業を刑事罰によって禁止することは、経済の健全な発展と取引の安全を図る公共の福祉にかなうものである。
結論
本件罰則規定は憲法に違反しないため、被告人の上告を棄却し、有罪判決を維持する。
実務上の射程
職業選択の自由・営業の自由に対する警察規制(消極目的規制)の合憲性を肯定した判例であり、届出制や登録制に伴う罰則規定の合憲性が争点となる事案において、公共の福祉による正当な制限を肯定する根拠として引用可能である。
事件番号: 昭和27(あ)4875 / 裁判年月日: 昭和30年1月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律に基づく届出制は、適正な届出さえ行えば誰でも自由に貸金業を営めるものである。したがって、無届で営業したことによる刑事罰の適用は、憲法上の権利を不当に制限するものではない。 第1 事案の概要:被告人は「貸金業等の取締に関する法律」に基づく届出を行わずに貸金業を営んだ。同法3…
事件番号: 昭和27(あ)348 / 裁判年月日: 昭和30年3月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律にいう「貸金業」とは、反復継続の意思をもって金銭の貸付けまたは金銭の貸借の媒介をする行為を指し、営利の目的(報酬・利益を得る意思や事実)は要件ではない。また、無届貸金業者に対する罰則規定は憲法22条の職業の自由を侵害せず、合憲である。 第1 事案の概要:被告人が、貸金業等…
事件番号: 昭和27(あ)6352 / 裁判年月日: 昭和30年3月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律による規制は、憲法22条1項の保障する職業選択の自由を不当に圧迫するものではなく、公共の福祉による正当な制限として合憲である。 第1 事案の概要:上告人は、貸金業等の取締に関する法律(旧法)の規定が、憲法22条が保障する職業選択の自由を不当に圧迫し違憲であると主張して上告…
事件番号: 昭和31(あ)914 / 裁判年月日: 昭和36年12月20日 / 結論: その他
一 原審が証拠により適法に認定した事実によれば、被告人は、利殖の目的をもつて原判示第二の(一)の日時場所において貸主としてA名義を使用し、Bに対し月七分ないし八分の利率をもつて金三〇万を貸し付けたほか、同様の方法で三回にわたり、同判示得第二の(二)ないし(四)の金員を同記載の利率をもつて貸し付けたというのであり、客観的…
事件番号: 昭和31(あ)3923 / 裁判年月日: 昭和32年4月15日 / 結論: 棄却
貸金業等の取締に関する法律(以下単に旧法という)三条によれば、何人でも同条の届出をすれば自由に貸金業を行うことができるし、かつ、旧法五条違反の制裁は同法条違反の行為をしな何人に対しても平等に適用せられるのであり、また、旧法施行時から出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律(以下単に新法という)施行後に亘つて所論…