貸金業等の取締に関する法律(以下単に旧法という)三条によれば、何人でも同条の届出をすれば自由に貸金業を行うことができるし、かつ、旧法五条違反の制裁は同法条違反の行為をしな何人に対しても平等に適用せられるのであり、また、旧法施行時から出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律(以下単に新法という)施行後に亘つて所論のように無届で闇金融を行つている者は、新法による届出を怠つた所為につき新法附則三項四項によつて所論の刑責に問はれるのみならず、旧法時代の行為についても新法附則一一条の規定により旧法五条違反の罪責を免れ得ないのであつて、所論のように、旧法施行時に貸金業を廃止した者に比し差別ある取扱を受けるのではない。従つて旧法五条およびその違反者を処罰する旧法罰則規定が憲法一四条に違反するとの主張は、その前提において失当であつて、適法な上告理由とならない。
貸金業等の取締に関する法律第五条およびその違反者を処罰する罰則規定は出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律との関係において憲法第一四条に違反するか
貸金業等の取締に関する法律5条,貸金業等の取締に関する法律18条,出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律附則3項,出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律4項,出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律11項,憲法14条
判旨
貸金業等の取締に関する法律(旧法)に基づき、届出なく貸金業を行うことを禁止し処罰する規定は、法の下の平等に反せず、憲法14条に違反しない。
問題の所在(論点)
旧法5条(無届営業の禁止)およびその罰則規定は、法の下の平等を定めた憲法14条に違反するか。また、新法施行後も旧法時代の行為を処罰することは、廃止した者との比較において差別的取扱いといえるか。
規範
法の下の平等(憲法14条)の適合性については、法規範の適用対象となる者が平等に取り扱われているか、また制度上の差異に合理的な理由があるかにより判断される。届出制により誰にでも営業の機会が開かれ、かつ違反者に対して一律に制裁が適用される仕組みであれば、憲法14条には違反しない。
事件番号: 昭和26(あ)2347 / 裁判年月日: 昭和30年3月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律における無届貸金業者に対する罰則規定は、経済活動の自由の合理的制限として憲法に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が、貸金業等の取締に関する法律に基づく届出を行わずに貸金業を営んだとして、同法の罰則規定の適用を受けた事案。被告人は、当該罰則規定が憲法の保障する経済的自由…
重要事実
被告人は、貸金業等の取締に関する法律(旧法)の施行期間中から、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律(新法)の施行後にわたって、無届で貸金業(いわゆる闇金融)を営んでいた。被告人は、旧法の無届営業を処罰する規定が憲法14条の平等原則や憲法97条の基本的人権の保障に違反すると主張し、上告した。
あてはめ
旧法3条は届出さえすれば何人でも自由に貸金業を営むことができる旨を定めており、門戸は平等に開かれている。また、旧法5条違反に対する制裁は、違反行為をした者に対して等しく適用されるものである。新法施行後も、旧法時代の無届営業については新法附則11条により旧法の罪責を免れないとされており、これは新法施行時に廃止した者と比較しても不当な差別とはいえない。したがって、被告人の主張は前提を欠く。
結論
旧法5条およびその罰則規定は憲法14条に違反しない。また、被告人が主張する具体的理由のない人権侵害の訴え(憲法97条違反)も失当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
本判決は、経済的規制立法における罰則規定の平等原則適合性を示したものである。答案上は、届出制という比較的緩やかな規制が平等原則や営業の自由に反しないことを論証する際の補強材料として活用できる。特に、法令の改廃(新旧法の交代)に伴う経過措置の合憲性を肯定する文脈で有用である。
事件番号: 昭和27(あ)4875 / 裁判年月日: 昭和30年1月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律に基づく届出制は、適正な届出さえ行えば誰でも自由に貸金業を営めるものである。したがって、無届で営業したことによる刑事罰の適用は、憲法上の権利を不当に制限するものではない。 第1 事案の概要:被告人は「貸金業等の取締に関する法律」に基づく届出を行わずに貸金業を営んだ。同法3…
事件番号: 昭和27(あ)348 / 裁判年月日: 昭和30年3月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律にいう「貸金業」とは、反復継続の意思をもって金銭の貸付けまたは金銭の貸借の媒介をする行為を指し、営利の目的(報酬・利益を得る意思や事実)は要件ではない。また、無届貸金業者に対する罰則規定は憲法22条の職業の自由を侵害せず、合憲である。 第1 事案の概要:被告人が、貸金業等…
事件番号: 昭和27(あ)6352 / 裁判年月日: 昭和30年3月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律による規制は、憲法22条1項の保障する職業選択の自由を不当に圧迫するものではなく、公共の福祉による正当な制限として合憲である。 第1 事案の概要:上告人は、貸金業等の取締に関する法律(旧法)の規定が、憲法22条が保障する職業選択の自由を不当に圧迫し違憲であると主張して上告…
事件番号: 昭和31(あ)914 / 裁判年月日: 昭和36年12月20日 / 結論: その他
一 原審が証拠により適法に認定した事実によれば、被告人は、利殖の目的をもつて原判示第二の(一)の日時場所において貸主としてA名義を使用し、Bに対し月七分ないし八分の利率をもつて金三〇万を貸し付けたほか、同様の方法で三回にわたり、同判示得第二の(二)ないし(四)の金員を同記載の利率をもつて貸し付けたというのであり、客観的…