一 原審が証拠により適法に認定した事実によれば、被告人は、利殖の目的をもつて原判示第二の(一)の日時場所において貸主としてA名義を使用し、Bに対し月七分ないし八分の利率をもつて金三〇万を貸し付けたほか、同様の方法で三回にわたり、同判示得第二の(二)ないし(四)の金員を同記載の利率をもつて貸し付けたというのであり、客観的に観察して被告人が反覆継続の意思をもつて貸金業等の取締に関する法律第二条にいう貸金の行為を業として行つたものというべく、それ以上に所論のような特別の形態を備えるまでの要はないものと解すべきである 二 貸金業等の取締に関する法律第五条、第一八条第一号は、憲法第二二条、第二九条第一項に違反しない
一 貸金業等の取締に関する法律第二条にいう貸金の行為を業として行つたものにあたる事例 二 貸金業等の取締に関する法律第五条、第一八条第一号の合憲性
貸金業等の取締に関する法律2条,貸金業等の取締に関する法律5条,貸金業等の取締に関する18条1号,憲法22条,憲法29条1項
判旨
貸金業法上の「貸金業」とは、反復継続の意思をもって貸付けを行うことをいい、客観的に店舗等の特別な形態を備える必要はない。かかる規制は、悪質暴利から一般大衆を守り、業務の公正を期するために必要かつ合理的なものであり、憲法22条・29条に違反しない。
問題の所在(論点)
旧貸金業法5条(現行貸金業法3条等)にいう「貸金業」の意義、および無届営業を禁止する規制が、憲法22条(職業選択の自由)や29条(財産権)に違反するか。
規範
「貸金業」とは、客観的に観察して反復継続の意思をもって金銭の貸付けを業として行うことをいい、それ以上に店舗の設置などの特別な形態を備えることまでは不要である。このような届出制による職業・財産権の制限は、悪質暴利等の不正な金融から一般大衆を守り、業務の実態把握と監督を通じて公共の福祉を維持するために必要かつ合理的な措置といえる。
重要事実
事件番号: 昭和27(あ)348 / 裁判年月日: 昭和30年3月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律にいう「貸金業」とは、反復継続の意思をもって金銭の貸付けまたは金銭の貸借の媒介をする行為を指し、営利の目的(報酬・利益を得る意思や事実)は要件ではない。また、無届貸金業者に対する罰則規定は憲法22条の職業の自由を侵害せず、合憲である。 第1 事案の概要:被告人が、貸金業等…
被告人は、利殖の目的をもって、他人の名義を使用しながらBに対し月7分ないし8分の高利で30万円を貸し付けた。その後、同様の方法で合計3回にわたり金員を貸し付けたが、貸金業等の取締に関する法律に基づく届出を行っていなかったため、同法違反として起訴された。
あてはめ
被告人は「利殖の目的」という営利性を有し、短期間に「3回」にわたり特定の相手方に対して貸付けを行っている。これは客観的にみて「反復継続の意思」をもって貸付けを業としたものと評価できる。被告人は客観的な営業形態(店舗等)の欠如を主張するが、法の趣旨は不正な金融から大衆を保護する点にある以上、形態の有無にかかわらず実態として業を行えば規制の対象となる。したがって、本件貸付けは「貸金業」に該当する。
結論
被告人の行為は「貸金業」に該当し、無届営業を罰する法規定は憲法22条および29条に違反しない。よって、被告人の行為を同法違反とした原判決に憲法違反および解釈の誤りはない。
実務上の射程
「業として」の定義において、営業用店舗の有無などの外形的事実ではなく、反復継続の意思という主観的・実態的要素を重視する基準を示した。行政規制における「業」の概念を画定する際の基礎となる判例であり、特に無許可・無届け営業の成否が争われる事案で引用される。
事件番号: 昭和28(あ)601 / 裁判年月日: 昭和30年4月22日 / 結論: 棄却
貸金業等の取締に関する法律第二条にいう「貸金業」の意義は当裁判所の判例(昭和二六年(あ)第八五三号同二九年一一月二四日大法廷判決)のとおりであつて客観的に観察して貸金業としての形態を備えることは右「貸金業」の要件には属しない。
事件番号: 昭和28(あ)3644 / 裁判年月日: 昭和29年4月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】「貸金業等の取締に関する法律」2条にいう「貸金業」とは、反復継続の意思をもって、金銭の貸付けまたは金銭の貸借の媒介をすることを指す。 第1 事案の概要:被告人が「貸金業等の取締に関する法律」(当時の法律)2条に規定される「貸金業」に該当する行為を行ったとして起訴された。弁護人は、原判決の判断に判例…
事件番号: 昭和26(あ)2347 / 裁判年月日: 昭和30年3月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律における無届貸金業者に対する罰則規定は、経済活動の自由の合理的制限として憲法に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が、貸金業等の取締に関する法律に基づく届出を行わずに貸金業を営んだとして、同法の罰則規定の適用を受けた事案。被告人は、当該罰則規定が憲法の保障する経済的自由…
事件番号: 昭和27(あ)2827 / 裁判年月日: 昭和29年9月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律における「貸金業」とは、反復継続の意思をもって金銭の貸付け又はその媒介を業として行うことを指し、不特定多数人を相手にする場合に限定されない。 第1 事案の概要:被告人は、貸金業等の取締に関する法律上の登録を受けずに、反復継続して金銭の貸付け等を行ったとして起訴された。弁護…