判旨
刑の量定において、被告人の性別や国籍(出自)を理由に差別的な取り扱いをすることは許されないが、記録上そのような差別が認められない場合には憲法違反とはならない。
問題の所在(論点)
量刑において被告人の性別や民族(国籍)を考慮して差異を設けることが、憲法14条等の法の下の平等に反し、刑訴法411条の破棄事由に該当するか。
規範
刑罰の量定(量刑)は、犯人の性格、経歴、犯罪の動機、目的、態様等の諸般の事情を考慮して行われるべきものであり、被告人が特定の性別や国籍(出自)であることをもって不当に差別的な刑を科すことは、憲法14条(及び13条)の精神に反し許されない。
重要事実
被告人(男性、朝鮮人)が、相被告人(女性、日本人)との比較において、自らの性別および国籍を理由に刑の量定で差別されたと主張して、憲法違反を理由に上告した事案。
あてはめ
本件記録を精査しても、被告人が男性であり朝鮮人であること、あるいは相被告人が女性であり日本人であることのゆえに、刑の量定において差別されたという事実は認められない。したがって、量刑の妥当性を欠くような憲法違反の事実は存在しないと解される。
結論
被告人の主張する差別事実は記録上認められず、憲法違反および刑訴法411条等の上告理由には当たらないため、上告を棄却する。
実務上の射程
量刑上の不当差別を憲法違反として争う際の判断枠組みを示しているが、実務上は「具体的な差別事実の有無」が記録上立証されるかどうかが決定的となる。事案の性質上、実質的な量刑不当を憲法問題にすり替える主張に対する排斥論理として機能する。
事件番号: 昭和50(あ)1898 / 裁判年月日: 昭和51年2月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】国籍を理由とした不平等な量刑(科刑)の有無が争われたが、記録上、被告人が韓国籍であることを理由に差別的科刑を受けた事実は認められない。 第1 事案の概要:韓国籍を有する被告人が、特定の犯罪事実について有罪判決を受け、量刑を不服として上告した。被告人側は、自身が韓国籍を有することを理由に、差別的で不…