判旨
裁判所が量刑を決定するに際し、被告人の国籍のみを理由に差別的に重く処罰することは許されないが、犯罪の情状や諸般の事情を考慮して科刑を維持した原判決に差別的な意図が認められない以上、憲法違反には当たらない。
問題の所在(論点)
裁判所による量刑の決定において、被告人の国籍や民族的出自を理由に差別的な科刑が行われたか否か、およびそれが憲法違反(法の下の平等違反)を構成するか。
規範
量刑の判断においては、憲法14条1項の法の下の平等の原則に基づき、人種、信条、性別、社会的身分、門地等による差別的取扱いが禁止される。具体的妥当性をもった量刑を行うにあたっては、犯罪の情状その他諸般の事情を総合的に考慮すべきであり、特定の属性のみを理由に不利益な取扱いをすることは許されない。
重要事実
被告人は、一審判決における科刑が不当に重いとして控訴したが、原審(二審)は本件犯罪の情状および諸般の事情を考慮して一審の科刑を相当と認めた。これに対し、被告人は、自身が朝鮮人であることを理由に差別的に刑が重くされたものであり、憲法違反および量刑不当であると主張して上告した。
あてはめ
原判決の判文を検討すると、原審は本件犯罪の情状や諸般の事情を適切に考慮した上で、第一審の科刑を相当と判断していることが明白である。記録を調査しても、被告人が朝鮮人であるという事実のみを理由として、特段の差別的な意図をもって刑を重くしたという形跡は認められない。したがって、適正な量刑判断の枠組みの中で行われた科刑であるといえる。
結論
被告人に対する科刑が差別的に重くされた事実は認められず、憲法違反や量刑不当には当たらないため、上告を棄却する。
実務上の射程
憲法14条が禁止する差別的取扱いにあたるか否かは、判決の理由中で示された考慮要素(犯罪の情状等)に基づき客観的に判断される。属性のみを理由とする差別を否定しつつ、総合的な情状判断の結果として生じた量刑については、特段の差別的形跡がない限り司法判断が維持されることを示している。
事件番号: 昭和27(あ)4326 / 裁判年月日: 昭和28年12月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑の量定において、被告人の性別や国籍(出自)を理由に差別的な取り扱いをすることは許されないが、記録上そのような差別が認められない場合には憲法違反とはならない。 第1 事案の概要:被告人(男性、朝鮮人)が、相被告人(女性、日本人)との比較において、自らの性別および国籍を理由に刑の量定で差別されたと主…